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スーパーのベイシアでDXをけん引するのは、プロCDOの亀山博史氏だ。2020年10月に入社すると、真っ先に内製組織を立ち上げた。会員アプリを軸にした販促などのDX施策を矢継ぎ早に実現している。

(写真:村田 和聡)
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 カインズが「積極的な長男」であれば、スーパーのベイシアは「控えめな次男」。メディア露出が多いカインズに比べ、どちらかというと控えめとされていたベイシアはグループ内でこう呼ばれることがある。

 ただそのベイシアが今DXによって劇的に変わりつつある。同社のDX戦略をリードするのは、2020年10月に入社した亀山博史マーケティング統括本部本部長デジタル開発本部本部長だ。亀山氏は米国で経営学修士(MBA)を取得後、コンサルティング会社を経て、アマゾンジャパンの化粧品部門の責任者やスターバックスコーヒージャパンのテクノロジー部門の責任者などを歴任してきた実績を持つプロCDO(最高デジタル責任者)・CIO(最高情報責任者)だ。

ベイシアの亀山博史マーケティング統括本部本部長デジタル開発本部本部長(写真:村田 和聡)
ベイシアの亀山博史マーケティング統括本部本部長デジタル開発本部本部長(写真:村田 和聡)
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 ベイシアグループの実質的なトップである、カインズの土屋裕雅会長はベイシアをカインズに次ぐDX先進企業に押し上げる計画で、その重要な舵(かじ)取りを亀山氏に託した。亀山氏は「(ベイシアには)魅力的な商品と実店舗という強みがあり、デジタル技術を使えばそれをさらに強くできる。やりがいのあるオファーだった」と語る。

 それまでベイシアが本部長クラスを外部から採用したことはほとんどなかったという。亀山氏の入社は「DX戦略に力を入れるとの土屋会長やベイシア橋本浩英社長の本気度が社内に伝わるきっかけになった」(ベイシア)。ITのプロである亀山氏にマーケティング部門のトップも兼任させたのは、紙のチラシによる販促からデジタルマーケティングに切り替えるという、橋本社長の確固たる決意の表れでもある。