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普通の社員でもデータを活用する「凡人経営」を掲げるワークマン。社員を4階層に分けたデータ分析体制を敷き、スキルに応じて昇格させる。データ活用の事例発表会で褒め合う文化を醸成し、やる気を高めている。

(写真提供:ワークマン)
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 「低価格帯の牛革手袋を置いていない。これが機会損失になっているようです」。ワークマンが展開するアウトドア、スポーツ、レインウエアの専門店「ワークマンプラス」の蒲田矢口渡店(東京・大田)。同店に足を運んだ、ワークマンの塩見俊民スーパーバイズ部東京地区チーフスーパーバイザーはノートパソコンを片手に、佐久間雄佑店長へ品ぞろえの問題を指摘した。

 200~300円台の革手袋は、溶接や産業廃棄物処理といった厳しい環境での現場作業に欠かせない。塩見チーフスーパーバイザーがワークマンのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの1つ「機会損失SKU分析」で調べ、東京地区で売れているが蒲田矢口渡店では取り扱いがないことを発見。2021年7月に取り扱いを始めたところ、すぐ安定した販売につながり、固定客の獲得に貢献したという。

 ワークマンはスーパーバイザーがBIツールを駆使して、店舗の品ぞろえや最適な発注量の見極めを支援する。4種類ほどの分析のルーティンを週次で実施し、店長と相談しながら売り場を改善していく。

図 ワークマンにおけるデータ分析システムの活用
図 ワークマンにおけるデータ分析システムの活用
スーパーバイザーがデータ分析に基づき店長をサポート(写真提供:ワークマン)
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 蒲田矢口渡店では他にも2021年10月に金額ベースの在庫回転率を分析し、カジュアルウエアの数字が予算を下回ったことをいち早く把握し、陳列や発注量を調整して改善したという。

 蒲田矢口渡店は佐久間店長がエネルギー関連の営業職から脱サラし、フランチャイズで2021年3月に開店した。開店直後はカンに頼って商品を過剰に発注してしまい、バックヤードに他商品を置けなくなるといった失敗もあった。しかしスーパーバイザーによるデータに基づいたサポートで「安心して運営ができている」と佐久間店長は話す。

 ワークマンは2015年3月期から2021年3月期で既存店平均年商を9489万円から1億6025万円に6年連続で伸ばし、チェーン店舗の契約更新率は99%(定年退職を除く)を誇る。同社のDXをけん引する土屋哲雄専務は成功要因の1つにデータを活用した店舗支援を挙げ、「普通の社員がデータを駆使する凡人経営を進めてきた」と話す。