米IT大手の経営者が、SDGsに積極的な発言を重ねている。社会インフラの担い手として、もうけを出すことと社会貢献の両立が期待されているためだ。日本のIT大手もSDGsに対して、ようやく重い腰を上げ始めた。
「女性やマイノリティーにとって魅力的な企業は、バリューに『平等』の文字を組み込むだけでなく、実際に行動しないといけない」(米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼共同CEO)、「ビジネスやプロダクトの成功は、人間の尊厳や基本的な品位と交換することはできない」(米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO)――。
米IT大手の経営トップが相次いで、SDGsを重視する姿勢を見せている。クラウドやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、AI(人工知能)が国や企業の活動を支える社会インフラに発展し、IT大手の影響力が強まる中で、もうけを出すことと社会貢献の両立が求められている。
市場の独占や情報管理の甘さから、米フェイスブックや米アマゾン・ドット・コムなど「GAFA」を中心に世間の風当たりが強まっている。2020年に大統領選挙を控える米国では、GAFAの分割論まで飛び交う。自社のビジネスが社会の役に立つと訴え、政府や消費者との摩擦を弱めるうえで、SDGsの達成に力を注ぐ意義は大きい。
セールスフォースはサービス開発
セールスフォースは2019年11月、米サンフランシスコで開催した自社イベント「Dreamforce 2019」で、SDGsで定めた17の目標のうち「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」「住み続けられるまちづくりを」「気候変動に具体的な対策を」の6つの領域に注力する方針を打ち出した。