
(背景:Getty Images)
データやエビデンス(根拠)に基づいた介護サービスを提供する「科学的介護」が動き出した。現場の判断を支援し、質の高いケアを実践する目的で、センサーやAI(人工知能)が介護の現場に広がり始めている。2021年には「科学的介護情報システム(LIFE)」の運用が始まり、データ活用の機運は高まる一方だ。技術の導入が進む介護現場の現状と将来展望を探る。
ICTが支援、ケアの質を高く
データやエビデンス(根拠)に基づいた介護サービスを提供する「科学的介護」が動き出した。現場の判断を支援し、質の高いケアを実践する目的で、センサーやAI(人工知能)が介護の現場に広がり始めている。2021年には「科学的介護情報システム(LIFE)」の運用が始まり、データ活用の機運は高まる一方だ。技術の導入が進む介護現場の現状と将来展望を探る。
データ収集・分析
寝たきりだった高齢者が自分の足で歩けるようになった――。こうした例は、エビデンス(根拠)を重視したリハビリを実践するポラリス(兵庫県宝塚市)の通所介護(デイサービス)施設でよくあることだという。腰の骨を折って3カ月入院した後、寝たきりの状態となった高齢男性もその1人。
センサー/ツール活用
「介護(ケア)とは単に食事や風呂の世話をするだけではない。常に(高齢者の)生命力の消耗が最小になるように行動する必要がある」――。データ共有ツールなどICTを活用する特別養護老人ホームやデイサービス(通所介護)などを手掛ける社会福祉法人福祉楽団の飯田大輔理事長は、介護の難しさについてこう説明する。
AI・IoTで在宅介護
在宅介護を受けている高齢者の数は、厚労省が公表している統計から推定すると、介護施設で暮らす高齢者の2倍以上の約365万人にのぼる。状態の悪化(重度化)をできるだけ遅らせることができれば、高齢者は住み慣れた自分の家での生活を維持できる。