全3168文字
PR

自治体はこれまで主に国内ベンダーと組んで、それぞれ独自に情報システムを開発・運用してきた。この慣習をデジタル庁が進める自治体システム標準化とガバメントクラウドが大きく変える。ITベンダー22社に今後の戦略を緊急取材した。

 デジタル庁の指揮の下、全自治体は2025年度末までに標準準拠システムに原則移行し、マルチクラウドで構成する政府共通システム基盤「ガバメントクラウド」上で可能な限り使う。自治体システムは原則クラウドベースとなるわけだ。

 自治体システムはこれまで国産大手ITベンダーがオンプレミスで構築するケースが多く、実質的な「縄張り」だったが、勢力図が大きく様変わりする可能性がある。どう変わるのかを探るため、日経コンピュータは2021年9~12月に行政機関向けビジネスを手掛けるITベンダーを対象に、アンケートとインタビューで各社の取り組みを調べた。22社から得た回答を見ていこう。

表 自治体システム標準化とガバメントクラウドによる自社事業への影響と、今後強化する分野
クラウド軸に公共ビジネスの競争が激化(出所:各社へのアンケートと取材を基に日経コンピュータ作成)
表 自治体システム標準化とガバメントクラウドによる自社事業への影響と、今後強化する分野
[画像のクリックで拡大表示]

地方ベンダーは「売り上げ減少」

 標準化とガバメントクラウドが自社の事業にどう影響するかを聞いたところ、国内大手はNTTデータが「自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むとともに情報連携の可能性が増すと期待」と回答した。富士通は「行政システムの統一化やサービスのデジタル化が進むと期待」とした。

 地方ベンダーであるTKCと両備システムズは売り上げが減ると回答した。共に、自社データセンターのプライベートクラウド環境に構築した自治体システムの利用が減ると見込む。

 今後強化する分野では国内大手ベンダーは標準準拠システムへの対応を挙げたのに対し、地方ベンダーやベンチャーなどは行政手続きオンライン化といった自治体DX支援事業を挙げた。政府は2020年12月に「自治体DX推進計画」を、2021年7月には「自治体DX推進手順書【第1.0版】」を公開するなどして、自治体システム標準化に加え、行政手続きオンライン化などのDXを推進している。