全7351文字
PR

 クラウドのコストを削減するには、特性やサービスの動向を押さえたうえで、継続的に使い方を見直す必要がある。本特集では、鉄道の乗り換え案内サービスなどを提供するナビタイムの事例を中心に、最新のクラウドコスト削減のポイントを探る。

 同社は2019年、それまでオンプレミスのサーバーで運用していたシステムを米アマゾン・ウェブ・サービスの「Amazon Web Services(AWS)」へ移行完了して以来、コスト削減の工夫を積み重ねてきた。以降では、AWSに加えて米マイクロソフトの「Azure」のコスト削減策も取り上げる。

オンプレミスの常識を持ち込まない

 クラウドでは「オンプレミス(自社所有)環境の常識」は捨て去る必要がある。このマインドチェンジができないと、コスト削減はおぼつかない。

 「一般にオンプレミスでは3~5年ごとにサーバーを更新するので、この期間内に負荷が増えてもキャパシティーが逼迫しないようあらかじめ余剰を持たせる。クラウドでもこの考えを変えないケースが少なくない」。日本マイクロソフトの佐藤壮一製品マーケティング&テクノロジ部プロダクトマネージャーはオンプレミスの常識をクラウドに持ち込む弊害をこう指摘する。

 「リソースの余剰はクラウド事業者が持っているので、利用企業は必要に応じてキャパシティーを増やすのがクラウド利用の考え方だ」(佐藤プロダクトマネージャー)。

 ナビタイムがオンプレミスでサーバーを運用していたとき、全体の1~2割の余剰サーバーを抱えていたという。「台風などの変動要因があると、検索アクセスが通常の3~4倍に跳ね上がるので、それに備える必要があった」とナビタイムの小泉亮輔インフラエンジニア グループマネージャーは振り返る。

 AWSへの移行に当たっては、アクセスログから負荷を検証し、仮想マシンの「Amazon EC2」の構成を検討した。その際、オンプレミスのサーバーのキャパシティーをEC2で再現すると、オンプレミスよりコストが高くつくとの試算が出たという。

 そこでAWSのオートスケーリング機能を使い、負荷に応じて仮想マシンの台数を自動で増減させることにした。これにより、余剰の仮想マシンをほぼなくした。例えばあるサービスの場合、日中は100台規模の仮想マシンが動いているが、夜間は10~20台程度で済んでいるという。

図 ナビタイムがAWS移行でコスト削減に生かしたサービスと料金制度
クラウド特有の狙いどころがある
図 ナビタイムがAWS移行でコスト削減に生かしたサービスと料金制度
[画像のクリックで拡大表示]
「乗換NAVITIME」の画面(写真提供:ナビタイム)
「乗換NAVITIME」の画面(写真提供:ナビタイム)
[画像のクリックで拡大表示]