デジタルトランスフォーメーション(DX)はバズワードではない。DXの本質は変革。変革なき企業は生き残れない。先進事例を徹底研究し、DX成功の要諦を探る。
エーザイはデジタル分野に人とカネを投じるため、50年使い続けて保守性が悪化したメインフレーム上の基幹系システムを刷新した。オリエントコーポレーションは新たな基幹系システムの稼働後に分析で使えるデータが大幅に増えたことで、機械学習に基づくデータ分析がしやすくなった。
脱汎用機で7割スリムに、リソース浮かせDXに投入
エーザイ
「データ分析やデジタル活用のスタートラインに立てた」。エーザイの上之薗孝之利ICTビジネスソリューション部部長はこう話す。2018年6月、同社は50年間使い続けてきたメインフレームに別れを告げ、基幹系システムをオープンシステム上に再構築して稼働させた。単なるハード更改やマイグレーションではなく、DXの旅の第一歩を踏み出したという位置付けだ。
基幹系システムは営業や人事、販売、物流などの業務を支え、生産・販売計画といった多種大量の帳票印刷も担ってきた。だが長年の運用により131個あったアプリケーションは内部構造や外部連携がスパゲティのように複雑に絡み合い、保守や運用管理の効率を下げていた。
エーザイは2019年度にメインフレームの保守契約期間が満了となる4年前の2015年4月に再構築プロジェクトをスタートさせた。「維持管理費用の削減という狙いもあったが、最大の目的はメインフレームを使うことによって生じるシステム上の制約をなくすこと」(上之薗部長)だった。
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