日本に6社しかないとされるユニコーンの一角、労務管理SaaS大手のSmartHRを率いる。顧客ニーズを満たす製品開発と、革新的な製品を生む非連続な成長の両立を志向。人的資本経営への注目も追い風に、SaaS間連携を進めて従業員データのハブの地位を目指す。
(聞き手=浅川 直輝、玉置 亮太)
エンジニアからCTO(最高技術責任者)を経て、2022年1月にCEO(最高経営責任者)に就任しました。経営や組織づくりにどのように取り組んできましたか。
2016年の入社当時は創業メンバーばかりで社員は数人でしたが、CEO就任時は社員数が600人前後と、スタートアップというよりほとんど大企業のようでした。その規模に合うよう、会議体の整備や、(管理職や従業員の)役割と権限の整理などを進めました。
急成長するスタートアップは社員が増えるにつれて、マネジメントの注意点が変わっていくと聞きます。
マネジメントはどのフェーズでも総合的なものです。何か1つの取り組みで全てが良くなることはほとんどなくて、小さなことの積み重ねです。組織の成長フェーズに応じて課題を洗い出して、1つずつ対処していくしかないと思いますね。
例えば会議体の見直しにはこの数カ月、非常に力を入れています。組織が小さかったときと大きくなってからでは、意思決定のプロセスが全く違います。決められるものも決められないし、議論の中身もどんどん浅くなっていたので、一度原点に立ち返って、今の組織で意思決定すべき人やふさわしい会議体、それぞれの期待値や参加者の責任、なすべき議論などを整理してきました。