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日本に6社しかないとされるユニコーンの一角、労務管理SaaS大手のSmartHRを率いる。顧客ニーズを満たす製品開発と、革新的な製品を生む非連続な成長の両立を志向。人的資本経営への注目も追い風に、SaaS間連携を進めて従業員データのハブの地位を目指す。

(聞き手=浅川 直輝、玉置 亮太)

芹沢 雅人(せりざわ・まさと)氏
芹沢 雅人(せりざわ・まさと)氏
2016年2月、SmartHR入社。2017年7月にVPoE就任、開発業務のほか、エンジニアチームのビルディングとマネジメントを担当する。2019年1月以降、CTOとしてプロダクト開発・運用に関わるチーム全体の最適化やビジネスサイドとの要望調整も担う。取締役、D&I推進管掌役員(兼任)を経て2022年1月より現職。(写真:村田 和聡)
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エンジニアからCTO(最高技術責任者)を経て、2022年1月にCEO(最高経営責任者)に就任しました。経営や組織づくりにどのように取り組んできましたか。

 2016年の入社当時は創業メンバーばかりで社員は数人でしたが、CEO就任時は社員数が600人前後と、スタートアップというよりほとんど大企業のようでした。その規模に合うよう、会議体の整備や、(管理職や従業員の)役割と権限の整理などを進めました。

急成長するスタートアップは社員が増えるにつれて、マネジメントの注意点が変わっていくと聞きます。

 マネジメントはどのフェーズでも総合的なものです。何か1つの取り組みで全てが良くなることはほとんどなくて、小さなことの積み重ねです。組織の成長フェーズに応じて課題を洗い出して、1つずつ対処していくしかないと思いますね。

 例えば会議体の見直しにはこの数カ月、非常に力を入れています。組織が小さかったときと大きくなってからでは、意思決定のプロセスが全く違います。決められるものも決められないし、議論の中身もどんどん浅くなっていたので、一度原点に立ち返って、今の組織で意思決定すべき人やふさわしい会議体、それぞれの期待値や参加者の責任、なすべき議論などを整理してきました。