岸田内閣に最年少で入閣し、2代目のデジタル大臣に就任した。デジタル改革に加え、規制改革と行政改革の担当大臣も兼ねる。他省庁との連携を強調し、地方自治体や事業者、そして住民の声を拾い上げ改革を進める。
(聞き手=浅川 直輝、長倉 克枝)
デジタル大臣として北海道北見市や浜松市といった地方自治体を視察しています。参考になった点は。
北見市では(住民が窓口で申請書に記入しないで職員の聞き取りによってワンストップで手続きができる)「書かない窓口」を視察しました。これからデジタル田園都市国家構想に基づき、(デジタルに取り組む自治体など)全国で約1000団体を支援していく中で、重要な施策の1つがこうした書かない窓口になると思いました。
北見市ではローカルのITベンダーがこのサービス提供の大きな役割を担っています。市役所のBPR(業務プロセス改革)も素晴らしいのですが、それに加え(ベンダーなど)関係者との連携が好事例の要素になっています。
こうした事例は、自治体システム標準化にも取り入れていくのでしょうか。
はい、北見市の事例からは、自治体システム標準化や(自治体や政府が共同利用するマルチクラウドのシステム基盤)「ガバメントクラウド」の中でも、次のステップに向けてやるべきことがあるという示唆をいただきました。
浜松市では(市民自らが社会や地域の課題解決を目指す)「シビックテッカー」が活躍しています。オープンソースとして公開されている東京都のWebサイトのソースコードを基にして、新型コロナウイルス感染症関東情報サイトを4日間でリリースしました。
エンジニアなどの仕事をしているシビックテッカーが、これまで役所が担ってきた業務を一緒に考えてくれる時代になったのは、本当に心強いです。
海外のデジタル担当者との意見交換にも積極的です。
(2021年11月に)デジタル庁として初めてデンマーク(の外務省)と覚書(MOC)を結びました。デンマークには(オンラインID制度の)「NemID」、(公共ポータルWebサイトの)「Borger.dk」があります。
デンマークから学びたいのは、国民の8~9割がそれらの利便性が高いと評価している点です。私たちが目指したい世界です。