550人を超えるCTO(最高技術責任者)が集う団体「日本CTO協会」を束ねる。技術人材のネットワークづくりと、日本企業のテクノロジー経営支援が目的だ。行政デジタル化の議論が加速する中、デジタル庁にも政策提言し協力を惜しまないと強調する。
(聞き手=浅川 直輝、玉置 亮太)
CTOという役職を意識したのはいつごろですか。
ミクシィに所属していた2013年ごろ、朝倉(祐介・元社長)といっしょにターンアラウンド(事業の方向転換や企業再生)へ動き出した際、CTOをやりたまえという話が出たのがきっかけです。前任者と交代で、急な話でした。
急いで本を読んでCTOとは何か勉強しました。当時は英語の本が2冊くらいしかなかったので、読みましたよ。
でも、「分からん!」と。当時は製造業でものづくりに関わる技術職といった理解が大半で、ソフトウエアを中核とする企業のCTOを論じた書籍や研究はほとんどありませんでした。では先輩方から直接教わろうと考えて始めたのがCTO会で、これが日本CTO協会の前身になりました。
CTOになるため必要なことは。
事業をゼロから作り出すスタートアップの場合は、極端に言えばまずはCTOと名乗ればいいと思うんですよ。環境や立場が人を育てる面がありますから。総勢5人の会社のCTOになったとなれば、技術に関する責任を全て負って頑張るしかないので。会社としてのステージが上がってくるごとにどんどん問題が難しくなっていって、それを解き続けてCTOとして成長する人もいるでしょう。