デジタル人材育成方針を作成
2022年2月、「東京都デジタル人材確保・育成基本方針」を発表しました。背景にどんな問題意識があったのでしょう。
継続的かつ安定的にデジタル化を進めるには、組織内部にデジタルについて分かる人や技術者が必要です。今までのようにベンダーに丸投げして「分からないから全部やってください」ではなく、ベンダーと「一緒にいいものをつくろう」でなければいけません。デジタル人材は極めて重要です。
まずはデジタル人材を定義して、徐々に「解像度」を上げていきます。どのようなデジタル人材が必要で、今このような人がいるといったことが分からないと、採用できないですよね。
ICT職や高度専門人材についてはどのように確保しますか。
高度専門人材は任期付きで採用しています。最新の技術に触れられるような環境ではありませんが、採用活動をしていると、「数年間であれば公共のために腕試ししてみたい」という人が応募してくれます。それぞれの専門的スキルで都のデジタル化をサポートしてほしいと思います。
ICT職は任期なしの公務員で、高度専門人材と事務系の職員の間に立つ人たちと位置付けています。都の業務も行政の進め方も政策のつくり方も分かっていて、なおかつ、デジタルのことも分かっている人材です。中途採用も新卒からの人もいますが、公務員の中で頑張ってほしいと思っています。
デジタル予算を初めて明らかに
行政のデジタル化が過去20年進まなかったのはなぜだと思いますか。
民間企業の場合は、デジタルに注力する戦略を立てたら人員と予算を増やします。人もカネも増えない戦略転換は、単なる掛け声に過ぎません。
行政では簡単ではない。職員が通常業務をやりながらデジタル知識を覚えて、デジタル活用せよと言われる。ここに根深い原因があります。その意味で、デジタルサービス局を創設し、ICT職やデジタルシフト推進担当課長を設けることができたのは大きい。
2022年度予算からはデジタル予算を明らかにしました。今までいろいろな予算の中に紛れ込んでいたのですが、予算案を作成するときにデータベースを整備し、都全体でデジタル案件が全体でいくつあってトータルでいくらかかるのかを管理できるようにしました。2022年度のデジタル予算は2334億円です。
次年度にデジタルサービス局の人材やデジタル予算をどれだけ増やすかが重要です。人員やカネを突っ込まない限り、根性で頑張らざるを得ない。それでは大きな変化は起こりません。
任期はあと1年半ほどです。任期が終わったら民間に戻りますか。それとも行政の仕事を続けますか。
民間の仕事を20年以上やってきましたが、(今は)公共の仕事の面白さがすごく分かるので、引き続き民間じゃない世界でやってもいいかもと思いつつ、まだよく分かりません(笑)。