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試行錯誤を繰り返す「砂場」を作る

「ひろしまサンドボックス」と題した実証実験事業にも取り組んでいますね。人材の育成や集積活動の一環ですか。

 はい、デジタル人材を集めるには様々な面白い活動が必要と考え、2018年に始めました。3年間で10億円規模の予算を用意して、県内の企業や団体からプロジェクトを公募しました。現在、9件を運営しています。協議会に参加する企業と団体の数は当初の300から、現在は900ほどに増えました。

 カキの養殖や宮島観光、レモンの栽培、中小企業の製造プロセス改革などプロジェクトの内容は多様です。既存のデジタル技術を使うだけでは面白くないので、新しいソリューションを作り出すことを目標にしています。

失敗しても何度も試行錯誤できる場というコンセプトを打ち出していますね。

 まだ見ぬソリューションを生み出す取り組みですから、まさにデジタルの「砂場」の中でいろいろやってみようと考えています。協議会に参加する企業や団体には、自身が持つ技術を安く提供してもらうようお願いしています。参加企業同士のマッチングを促しすことにより、ひろしまサンドボックスとは別の協業プロジェクトが生まれたりしています。

(写真:菅野 勝男)
(写真:菅野 勝男)
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 デジタル技術を使った様々な活動を県内で増やして、やがては広島に定着する人や企業を増やしたい。デジタルに関する事業者の経験値も増やして、広島で様々な事業を営んでもらいたいと考えています。

 面白いことをしないとデジタル分野の人材は集まってくれません。広島県は面白い取り組みをたくさんやっているという雰囲気を作ったり実際にプロジェクトを立ち上げたりといった活動を、積極的に進めたいと思っています。

DXの実験はPoC(概念実証)止まりに終わるケースがよくあります。具体的な成果につなげられますか。

 サンドボックスで実施しているプロジェクトは最終的なソリューションを作ることよりも、むしろPoCの活動そのものを目的にしています。数多くのPoCを通じて、人や企業が活発に活動したり交流したりする状態を継続するのが重要なのです。

とはいえ税金を使う以上は何らかの成果を求められるのでは。

 もちろん各プロジェクトにはそれなりのアウトプットを求めます。しかし直接的な成果を出すことよりは、プロジェクトを通じて広島にかかわる人を増やす、人材や企業を集積するのが最大の目的です。

行政機関自身の業務プロセスや働き方の改革にはどう取り組みますか。

 2019年7月に発足させた「DX推進本部」が中心になって進めています。行政機関のDXに関してまず取り組んでいるのが各種手続きの見直しです。人手でこなしていた作業をデジタルで効率化します。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入も始めました。