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我々がダウンすればネットが止まる

BCPにことのほか注力する理由は。

 当社のサービスが日本のインターネットを支えていると自負しているからです。当社グループの売上高約2000億円のうち、インターネットのドメイン管理やサーバーホスティング、クラウドサービスといったインフラ事業が1000億円を占めます。

 東日本大震災のときもそうでしたが、我々は全てのサービスの維持をしなければなりません。例えばグーグルで検索した結果に出てくる日本のWebサイトのおよそ9割が、我々のDNSサーバーを使っています。私たちが運営するサービスがダウンしたら、日本のインターネットが止まると言っても過言ではありません。従ってグループが提供するサービスの維持が一番大切だと考え、BCPを重視しているのです。

新型コロナ対策で、どんな教訓や気づきを得ましたか。

 社員アンケートの結果を見ると、通勤がなくなる分の時間を家族とのコミュニケーションや自分の勉強に充てられるので、生活の質や生産性が上がったとの回答がたくさんありました。

 そこで新型コロナ終息後もテレワークを標準化すると決めました。在宅勤務が可能な部署は、週5日勤務のうち1~3日間の在宅勤務を奨励します。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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在宅勤務が当たり前になれば、物理的なオフィスに対する企業の考え方も変わりそうです。

 そうですね。正直なところ、2カ月あまり在宅勤務をして、実はオフィスは常に必要じゃないんだと気付きました。ただしオフィススペースはゼロでもいいとかテレワークだけでよいといった考え方は極論です。

 当社は東急不動産から渋谷のビルを2棟、長期契約で借りています。東急不動産に育ててもらいましたので、急にオフィススペースを削減するといった不義理をするつもりはありません。

 在宅勤務を取り入れれば、オフィスを増やさなくても今より多くのパートナー(従業員)を雇えます。つまり“未来の家賃”を削減できる。削減できる未来のコストのうち50%を従業員に、残りの50%は株主に還元します。

大災害は社会や組織にしばしば不可逆的な変化をもたらします。今回のコロナ禍による変化をどうみますか。

 命に関わる社会的インパクトの大きなできごとが起きると、人々は自分にとって大切なことを考えます。人間の行動の9割は習慣です。典型例の1つが通勤ではないでしょうか。

 テレワークが身近になり、本格的に取り組むと意外にいけると気付いた。新型コロナを境に、(テレワーク普及へ)時間が一気に進むと思います。

 変わるのは仕事に限りません。例えば娯楽の興行。ファンが劇場やスタジアムに足を運ぶスタイルは今後も変わらないと思いますが、ネットを組み合わせればライブ中継で興行を見てバーチャルの投げ銭をするといった楽しみ方も可能です。仕事や興行、学習などと様々な分野で今回のパンデミックが時間を早送りして、来るべき未来を社会全体が実感する契機になるのではないでしょうか。