高等専門学校(高専)が創造性と実践性を兼ね備えた技術者育成の場として評価を高めている。IT業界で活躍する高専出身者は多く、「ロボコン」「DCON」といった高専発コンテストも好評だ。国立高専を設置する国立高等専門学校機構のトップとして「Society 5.0」時代の人材育成に挑む。
(聞き手=浅川 直輝、増田 圭祐、大谷 晃司)
IT業界で活躍する高専出身者が増えています。
中学校を出ると高校に入学するのが一般的ですよね。95%は高校に行く。高専に入るのは、先生がちょっと持て余すというか、悪い意味ではなく先生の教える範囲に収まらない学生です。
ロボット開発に興味を持っていたり、情報分野で何かやっていたりするような人たちが学生として入ってくる。だから「ポケモン」をつくるような人が出てくるわけです(編集部注:「ポケットモンスター」の生みの親として知られるゲームクリエイターの田尻智氏)。
今、東京大学は高専生に入学してほしいと言ってきます。(一般入学の)東大生は情報やAI(人工知能)の理論ならすぐに分かるけど、それを何に使うのかとなると弱い。高専生は使い方が分かる。東大の松尾先生(東京大学大学院工学系研究科の松尾豊教授)は「高専から来た学生はAIを教えるとすぐに何かに使ってくれるからいい」とよく言っています。