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「内際統一」、1年かけて結論

旅客系の基幹システムは国際線がアマデウスITグループのクラウドサービス「Altea」、国内線が米ユニシスのオンプレミスのシステムと分かれています。

 国内と国際のシステムが違うことは以前からの課題です。私は20年くらい前から「内際統一」論者なんですよ。事業会社の全日本空輸(ANA)の平子裕志社長もそうだと思いますね。

 以前は国内線システムを「able-D」、国際線を「able-I」と呼んでいました。名前は似ていても操作方法は全然違っていて、コールセンターの担当者が相互に応援に行けないなど人的な課題がありました。

 今まで統合できなかったのは2つの理由がありました。大改修の時期がずれていたことと、国内線と国際線で運賃や関連規定、精算方法などの違いが大きかったことです。

国内線システムのサポート期限切れが2022年に迫っています。

 はい、いよいよ内際統一すべきかどうか議論を始めました。もちろんメリットとデメリットがあります。例えば投資額は外部に頼った方が長い目で見ると軽くなる可能性がありますが、一方で利用料を値上げされる可能性もあります。非常事態の場合も、自社システムはすぐ保守にかかれますが、外部では時間がかかるかもしれません。

 実は2018~2022年度の中期経営計画を今年1年かけて、リニューアルしようと思っています。システムについてもこの1年間の議論で結論を出して準備に入るつもりです。まだ結論は出していませんが、方向としてはなるべく外部のクラウドサービスを活用するつもりです。

空港や客室、整備、本社の事務系など、全社でITによる業務改革に取り組んでいますね。

 航空業界はもともと人手不足です。そこで最前線からのボトムアップで改革を進めてきました。例えばアシストスーツを成田空港に導入しました。自動運転車も空港域内のバスなどを使って実験しています。

(写真:的野 弘路)
(写真:的野 弘路)
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 お客様からお預かりした手荷物をコンテナに積み込む作業は空港スタッフがやっていますが、欧州では既にAI(人工知能)を搭載したロボットが最も効率良い積み方を自動で考えて積み込む事例があり、当社も導入を検討しています。改革を進める原動力はトップの危機感というよりボトムアップの変革だと思います。

 ANAホールディングスに設けたデジタル・デザイン・ラボもボトムアップの変革を実践している組織です。イノベーション関連のイベントや大会に出掛けて刺激を受けていますし、外部の企業や自治体と協業して実証実験を手掛けて、彼ら自身がどんどん変化しています。何でも自前でやるのではなく外部とコラボレーションして知恵をお借りして取り組みを広げていく。こうした活動が変革に大きく効いている気がします。

理系と文系、区別無く採用も

優れたIT人材の確保が重要ですね。

 おっしゃる通りです。最近、(自身が副会長を務める)経団連でも理系と文系の壁をなくそうといった話が出ています。当社も現時点は採用を理系、文系、技術系で分けていますが、例えば「数理ロジックに強い人材」といった観点から採用活動をしてもいいですね。

 当社の場合、技術系で入社し整備部門に配属された社員がマーケティングや経営企画で活躍するようになるケースがたくさんあります。数理ロジックに強い人が、(幅広い教養の)リベラルアーツや遊び感覚を身につけると、幅広い分野で活躍できる「人財」になると感じています。