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早くから自民党内で経済安保の議論をリードした1人で、初代経済安全保障相に就任した。経済安全保障推進法案は、今国会での成立が確実な情勢となった(2022年4月28日時点)。「脆弱性を解消し、優位性を獲得して、国益を経済面から確保する」と意気込む。

(聞き手=浅川 直輝、外薗 祐理子)

小林 鷹之(こばやし・たかゆき)氏
小林 鷹之(こばやし・たかゆき)氏
1974年生まれ。千葉県出身。1999年東京大学法学部卒業後、大蔵省(現財務省)入省。財務省国際局国際機構課係長、理財局総務課課長補佐、在米日本大使館出向などを経て退職。公募を経て自民党千葉県第2選挙区支部長就任。2012年衆院議員に初当選。2021年から現職。内閣府特命担当大臣(科学技術政策、宇宙政策)も兼任する。(写真:村田 和聡)
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いつごろからなぜ経済安全保障に関わるようになったのですか。

 日本にとって「虎の子」の技術が、買収や人材の引き抜き、非合法な手段など様々な形で海外流出し、「ものづくり立国日本」の地位がどんどん落ちていくのではないか――。そんな強い懸念を抱いて、自民党知的財産戦略調査会の会長をしていた甘利明衆院議員に「日本の技術流出の防止について議論したい」と2018年に訴えました。

 知財調査会の下に小委員会ができ、私も参加しました。機微な情報を扱うので、秘書すら同席しないクローズドな委員会で、経済安保について2年ほど議論し、提言も出しました。

 2020年6月に自民党で経済安保政策を担う新国際秩序創造戦略本部が発足し、事務局長に就きました。ですから、甘利さんなどと一緒に(自民党内で)経済安保の議論をリードしてきたという自負はあります。