リアル店舗でITを駆使する「IT小売業」実現へ老舗ホームセンターの改革を率いる。新規出店と合従連衡で成長するチェーンストアの常識とあえて決別。強みである店舗とデジタル技術を組み合わせ、顧客の新しい購買行動をつくると意気込む。
(聞き手=浅川 直輝、鈴木 慶太)
2019年3月の社長就任時に中期経営計画を策定しました。
最大の目的は「次のカインズ」を創ることです。カインズは日本のホームセンターの中では非常に古い会社の1つです。1989年、大型ディスカウントストアと日用雑貨店が合わさった日本型ホームセンターとして事業を始めたのが、当社にとっての第1の創業期でした。その後、現会長の土屋(裕雅氏)が2002年に社長になってSPA(製造小売り)にかじを切り、プライベートブランド商品を拡充していった時期が当社にとっての第2創業期と言えます。
ただ、ホームセンター市場はこの10年以上横ばいにもかかわらず、新店が増え続け完全にオーバーストアの状態になりました。そこで私が社長に就任したタイミングを第3創業期と位置付けました。自分たちがつくってきたカインズの枠を超えて、新しいカインズをつくるのが目的です。
中計ではデジタル活用を重要な柱の1つに位置付けていますね。
はい、新しいカインズを創るには新しいテクノロジーが不可欠と考え、大きく投資すると決めました。「IT小売業」を目指し、3年間で100億~150億円を投資する計画です。