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AI(人工知能)に対する見解はどうでしょう。世間には楽観論や悲観論、期待論、幻滅論など様々な見方があります。

 私は楽観的です。ただ、注意深く見守らなければいけないとも思っています。AIを健全に発展させるには、(政府などによる)適切な規制がポジティブな役割を果たせると思います。

スクエアは具体的にAIをどう活用していますか。

 まずスクエア社員による高度な判断を支援する用途を中心に導入しています。機械学習の技術を使い、顧客企業である小売店向けの与信審査を支援するといったものです。

 与信審査の手間やコストを削減できれば決済に関するコストを削減でき、顧客企業の決済業務に関するコストを抑えられます。ひいては当社のサービスを使っていただける企業が増えることにつながります。

 現在はスクエア社内の事務手続きの自動化にも活用範囲を広げています。顧客サポートや法務関連の手続きなどを可能な限り自動化することで、顧客向けサービスにより多くの時間を充てられるようにします。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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データの権限は小売店側に

 顧客企業向けサービス自体もAIで強化していきます。具体的には販売実績などのデータ分析を通じて小売店の顧客や事業に関するインサイト(洞察)情報を生み出し、投資やマーケティングに関する意思決定を支援します。事務手続きの自動化も推し進めて、小売店のオーナーが本業に集中できるようお手伝いします。

巨大ITプラットフォーマーへの規制論議が世界的に高まっています。データ活用の促進とプライバシー保護のバランスをどのように取るべきだと考えますか。

 消費者のプライバシー保護は極めて重要です。特にデータのコントロール権を(スクエアではなく)顧客企業である小売店側が持つことはとても重要だと思います。データに価値を与える一方で、データの取り扱い方法に関する透明性を保つことが欠かせません。

 データは加盟店の財産です。加盟店に利益が生まれるよう、データを分析してインサイト情報を加盟店にフィードバックしたり、データを生かしたプロダクトを提供したりするのが当社の立場です。

中小の小売店の困りごとを探るため、自ら訪ね歩くのを重視しているそうですね。

 (スクエアが本社を置く米国の)サンフランシスコを含めて、世界中どこに行っても定期的に店舗を訪問しています。日本でも今回の来日に合わせて何カ所か訪問しました。必ずしも当社の顧客ではなく、様々な小売店を見たり店員に悩みを尋ねたりしています。

 どの国の店舗を訪問しても、現金離れがどんどん進んでいると実感しますね。特に若年層を中心に、デジタルによるキャッシュレス決済がますます広がりつつあると感じています。