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デジタル活用にプラス面

コロナがもたらす新しい日常は、テーマパークというビジネスのあり方にも影響しそうです。

 4カ月以上にわたって収益が無く、財務上は極めて厳しい状況になりました。財務面の回復には相当な時間が必要です。

 しかしプラス面もあります。デジタルコンテンツの開発やオンライン配信、グッズのオンライン販売など、これまでにないチャレンジが極めてスピーディーに実現しつつあります。新規コンテンツを企画・開発するスキルの向上など、スタッフの成長は著しいものがあります。

 「動員数至上主義からの脱却」という、いずれ実現すべきと捉えていた改革をコロナ禍のため早急に実行する必要に迫られたわけです。今後の戦略の方向性を大変換することになり、新たなテーマパークビジネスの可能性を探究する契機になりました。

小巻社長はCDO(最高デジタル責任者)を兼務しています。テーマパーク事業にデジタル技術をどう活用しますか。

 最も重視しているのは顧客のニーズ収集です。当社は「ピューロアンバサダー」という制度を導入しています。アンバサダーはピューロランドの魅力をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で発信してくださる方々です。この制度を通じて、ピューロランドのファンの考えや期待を把握します。

 アンバサダーには1人ひとりに「マイページ」と呼ぶWebページを用意しています。マイページに投稿された文章や写真を分析すれば、各キャラクターのファンが館内で写真を撮っている場所や角度、アンバサダーの興味関心が分かります。ここから顧客がピューロランドに求めていることを探れるのです。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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データ分析で初心を思い返す

データ分析活動で印象に残ったエピソードはありますか。

 サンリオピューロランドについてのSNS上のコメントを分析したところ「スタッフが温かい」という言葉が出てきました。すぐにスタッフ教育の担当者に伝えて、2人で涙を流しながら喜んだのを記憶しています。結果をサービスに生かせるサイクルが定着しました。

 それまで私たちは目に見えるグッズやレストランのメニュー、ショーの内容、イベントなどを気にしがちでした。「インスタ映え」する料理のメニューを考案し、期間限定のイベントを開催し、館内でしか買えないグッズを作ることに一生懸命だったのです。