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「成長のキーはデジタル」と明言、AI活用で生産性や顧客の利便性向上に取り組む。激化する自然災害を前に、迅速で正確な保険金支払いという損保の本分をITで進化させる。豊富なデータの価値を再認識し、従来の保険の枠を超えた新規事業にも挑む。

(聞き手=浅川 直輝、田中 陽菜)

原 典之(はら・のりゆき)氏
原 典之(はら・のりゆき)氏
1978年東京大学経済学部卒、大正海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)入社。三井住友海上火災保険の市場開発部長や自動車保険部長を経て、2010年常務執行役員兼名古屋企業本部長、2016年三井住友海上火災保険の取締役社長社長執行役員。2020年から現職。2021年から三井住友海上火災保険会長を兼任。(写真:的野 弘路)
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経済産業省などが主催する「DX銘柄2021」に選出されました。

 ありがとうございます。MS&ADグループが経営レベルでデジタル化に注力し始めたのは、(現在の中期経営計画が始まった)2018年からです。(2021年度までの)4年間の中計で、重点戦略の1つにデジタライゼーションの推進を掲げました。その成果が評価されたと考えています。

 ちょうどその頃私も米シリコンバレーを訪問して、欧米大手が多くのDX投資を実施しているのを目の当たりにしました。そこで我々もシリコンバレーにCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)をつくりました。既に50社超に投資をしています。

 シリコンバレーに集まる技術には我々がこれまで接していないようなものが数多くあります。それらをきちんと見ながら、もっとデジタルの力を使って、当社自身の業務プロセスを大きく変えていく必要があります。以前から様々なIT投資をしてはいるのですが、AI(人工知能)をより積極的に使うなどレベルアップしなくてはなりません。