新型コロナ禍の逆風下にあって業績をV字回復させ、2022年度は過去最高の売上高を見込む。健康志向の高まりに加え、世界規模のIT基盤とデータを駆使した経営が実を結んだ。さらなる成長へ会員制サービスの充実や人材拡充を推進、全てのランナーをデジタルで支援する。
(聞き手=浅川 直輝、島津 忠承)
2022年12月期の連結業績は売上高が4600億円と過去最高を記録する見通しです。新型コロナ禍でスポーツビジネス業界全体に逆風が吹く中、業績を回復・成長させている背景をどうみていますか。
コロナ禍で集団スポーツは悪影響を受けましたが、個人スポーツであるランニングは健康志向の高まりが追い風になりました。密にならないスポーツとして注目を集めた結果、我々の見立てでは第3次ランニングブームが訪れたと思っています。第1次ブームは1980年代、米国のエリートがこぞって走り始めた時期です。第2次は2000年代、日本で東京マラソンが始まったころ。第3次ブームはコロナ禍で在宅勤務が増えて、体を動かすことの大切さを皆さんが感じた結果で、日本だけでなく世界中でブームが来ています。
厚底の新型シューズ「METASPEED(メタスピード)」の成功も好業績に貢献したのでは。
そうそう、米ナイキの厚底シューズが市場を席巻していた中、1強状態を何とかして崩したいと考えた結果です。2021年の箱根駅伝で当社製シューズの使用率がゼロになるという衝撃的な事態がありました。私の直轄で開発プロジェクトを立ち上げて、2021年の春先にプロトタイプを出せました。