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厳しい質問も「いい思い出」

 当日は厳しい質問を受けて満足に答えられなかったりするものですが、人生を振り返るとすごくいい思い出なんですよ。これを奪っちゃいけないと当時、僕は言いました。

学会は地方や海外で開くことが少なくありません。オンラインは学会開催の新たな選択肢になるのでは。

 はい、学会にまつわるニューノーマルと言えます。学生にとって旅費の負担はべらぼうに大きいんですよね。1人10万円とまでいかなくとも、地方から東京に来れば数万円かかるのも珍しくない。研究室で旅費を丸ごと出すのはこれまで大きな負担でした。オンライン学会にして、これまで発表できなかった学生にも発表の場を設けることができました。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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 女性の発表機会が増えたのも良い変化です。子どもを抱っこしながら発表した女性がいたんですよ。女性には結婚・出産などによる就業率の変化を示した「M字カーブ」があり、これまで小さい子どもがいる場合はなかなか学会のために出張できませんでした。来年、再来年、さらに5年後を見据えたときに、オンラインの発表・聴講をオプションとして維持すべきというのが大きな知見でした。

オンライン学会を主催した経験が、今春以降の大学のオンライン授業支援に生きたわけですね。

 その通りです。オンラインでもやれると示すのがNIIの役割です。

 1つ問題になったのが大規模なオンライン会議システムの運用体制でした。北海道大や東北大、東京大、名古屋大など7帝大の基盤センター長会議で議論したところ、基盤センターとNIIが共同で担うべきだとの結論に達しました。というのは、コンピューターシステムの研究をしている大学の教員や研究者はたくさんいますが、ITの「現場感」をもって運用やサポートができるかというとそうでもありませんから。あんまり言うと怒られるけど。