ユニクロや良品計画などの業績をV字回復に導いた「小売再生のプロ」が2021年3月、楽天グループなどが資本参加した新生・西友の社長に就任した。顧客データを武器に、小売りがリーダーシップを発揮する流通変革を目指す。
(聞き手=浅川 直輝、伊神 賢人)
大久保社長はかつてユニクロや無印良品の改革に関わったほか、成城石井ではインターネット回線で取引データをやりとりする流通BMSを導入するなど、情報システムに精通していると聞きます。
専門家ではないですが(笑)、もともと情報システム分野に興味がありました。小売業がシステムやデータを十分に活用しきれていないところに問題があると考え、1990年に設立したコンサルティング会社を「リテイルサイエンス」と名付けました。今はシステムやデータ活用がますます重要な時代になり、小売業界の関心も高まっていると感じます。
新型コロナ禍まっただ中で西友の社長に就任しました。今も続くコロナ禍の食品スーパーへの影響をどうみていますか。
一時的に家で食事をする消費者が増えて追い風が吹きましたが、今ではもう収まってきています。多くのスーパーは2020年には売り上げが伸び、チラシや値引きを減らしたので営業利益も増えました。
しかし2021年には売り上げがあまり上がらなくなり、減益になった企業が非常に多かった。2022年に入ってその傾向がさらに強くなり、値引き合戦が始まっています。