機械工具の卸大手を率いデジタル変革にまい進、「DX銘柄2020」のグランプリに輝いた。デジタルありきでなく、顧客の利便性と自社のあるべき姿を追求した結果と強調する。多数決経営に反対、在庫回転率は無意味と、業界の常識にとらわれない経営スタイルを貫く。
(聞き手=浅川 直輝、鈴木 慶太)
経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX銘柄2020」のグランプリに輝きました。
受賞の知らせを聞いたときは、「それはきっと何かの間違いやぞ」と社内で話していました(笑)。でも日本のものづくりの役に立ちたいという思いでこれまで社員たちが愚直に働いてくれていましたから、取り組みを評価いただけたのは純粋にうれしいです。
当社は機械工具の卸で、国内外のメーカー約2600社から仕入れた230万点の商品を全国約5500社に販売するビジネスを手掛けます。顧客は製造業や通販事業者など多岐にわたります。「顧客が欲しいと思ったものをすぐに用意してすぐに届ける」という、問屋の機能を追求するために、これまでデジタルを積極的に活用してきました。
グランプリに選ばれた取り組みは。
基幹システムをリプレースするタイミングで取り組んだ各種IT施策をご評価いただきました。当社は2006年からSAPを採用しており、2020年1月に新たにSAP S/4HANAを導入しました。今後売上高を3000億円(2019年12月期は2206億円)まで拡大する上で、必要となるであろう機能をこのタイミングで複数実装しました。