「超高速開発」改め、ノーコード/ローコード開発の認知度向上や活用促進を担う団体を率いる。設立当初から経営とITの融合を標榜、DX熱の高まりを背景に急速普及への手応えを語る。業務部門、IT部門、ベンダーが三位一体となった開発の理想型を目指し、活動をさらに発展させる。
(聞き手=浅川 直輝、玉置 亮太)
「超高速開発コミュニティ」から名称を変更して2年あまり、ローコード/ノーコードという言葉が日本のIT業界に与えた影響をどうみていますか。
団体を設立した2013年から、「経営とITの融合」をキーワードに活動してきました。企業の経営トップは「経営に役立つシステムが社内にない」と言い、IT部門は「経営者が明確なビジョンを示さないのにシステムが使い物にならないと言うのは無責任だ」と感じている。日本のIT活用は行き詰まると常々感じていました。
混乱の主因はユーザー企業がシステム開発のイニシアチブを取れなかったことです。批判しているのではなく事実として。なおかつシステム開発スタイルは(ITベンダーが主導する)ウオーターフォール型によるスクラッチ開発が依然として主流。最初から完璧なシステムをつくろうと、しっかりと上流から設計すべきだという考え方が浸透している。結果としてシステム開発に膨大な工数がかかってしまい、国全体のIT化の足を引っ張ってしまう。
こうした問題意識を持っていたこともあり、超高速開発コミュニティを設立しました。当時、日本では「RAD」や「CASE」といった開発技術のブームが下火になって行き詰まりつつありました。ただ、こうした高速開発の技術は必要だとずっと思っていました。