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精密計測技術を基盤に、建設や農業、医療のデジタル化にまい進する。機器を通じて集めたデータは顧客のものと断言。自らはデータ活用支援の裏方に徹する。ハードと周辺ITサービスを一体で手掛け、売り切り主体の事業構造のデジタル変革を目指す。
(聞き手=浅川 直輝、中島 募)
2020年は新型コロナウイルス禍が世界経済に大きな影響を与えました。足元の経営環境はいかがですか。
2月後半ぐらいから、まず中国から影響を受けました。3月に入ってからは欧州と米国で影響が出始めました。当社の売り上げは全体の6~7割が欧米市場なので、大きなダメージが懸念されました。
しかし3~4月にかけて欧米でロックダウンが実施されたものの、当社の土木・建設や農業向けの事業は大きな影響を免れました。こうした領域は社会にとって電気のようにエッセンシャル(必須)なものだからです。つまり、止めるわけにはいかない。
当社は「医・食・住」という3つの事業領域を掲げています。「医」は眼科向けの検査や診断、治療といった機器で、「食」は農機、「住」は土木・建設機械の自動制御や位置計測技術事業です。
それらの領域に注力する理由は。
IT化の遅れという社会的な課題があるからです。例えば自動車や半導体などの産業では、IT化で生産性向上やコストダウンなどが非常に進んでいます。一方、当社が掲げる医療や農業、土木・建設の産業はアナログで動いている部分が非常に多い。社会的な課題を解決しながら事業を大きくするという経営理念が根底にあります。