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菓子をはじめとする複合企業、ロッテホールディングスのトップとしてグループの改革を率いる。日本と韓国、両国の事業や組織の連携や交流の促進を、課題と同時にチャンスとみる。オーナー企業に飛び込んだ異分子と自称し、デジタルを土台にたこつぼ化した組織の壁を崩す考えだ。

(聞き手=浅川 直輝、玉置 亮太)

玉塚 元一(たまつか・げんいち)氏
玉塚 元一(たまつか・げんいち)氏
旭硝子(現AGC)、日本IBMを経てファーストリテイリングに入社し2002年同社社長兼COO。2005年リヴァンプを創業し社長就任。ローソン社長、ハーツユナイテッドグループ(現デジタルハーツホールディングス)社長CEOを歴任。2021年より現職。ジャパンラグビーリーグワン理事長、経済同友会副代表理事、千葉ロッテマリーンズオーナー代行も務める。(写真:村田 和聡)
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プロ経営者として、これまでファーストリテイリング、ロッテリア、ローソン、そしてソフトウエアテスト事業のデジタルハーツホールディングスと、様々な企業の経営に携わってきました。日韓にまたがって事業を展開するロッテホールディングス(HD)ではどのようなテーマに挑みますか。

 第1のチャレンジは韓国事業に比べて成長できていない日本事業を伸ばすことです。ロッテは私が天才経営者と仰ぐ重光武雄氏が1948年に日本で創業し、試行錯誤の結果チューインガムでまず成功しました。その後は無謀と言われながらもチョコレートへの参入を果たしました。続いて韓国で菓子、ホテル、化学工業と事業を拡大してきました。

 長年の事業展開を経て韓国事業はコングロマリットに成長し、事業規模は今や6兆円に達しています。対して日本事業は3000億円くらいです。残念ながら韓国に比べて全然成長してこなかった。特にこの10年ぐらいはそうです。

 みんな頑張っているんですよ。お菓子の事業領域でいろいろ取り組んでいるんだけど、結果としてはほとんど成功してない状態でした。日本をもう一度成長軌道に乗せる、これが大事なミッションです。お菓子を含む食品事業の領域を広げるか、あるいは飛び地に新しい事業をつくるか。お菓子の領域でも実はまだまだできることはいっぱいあります。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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