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人の感性に訴えかけるロボットの開発に挑む。2015年11月の創業以来、累計80億円の資金を調達。様々な専門家からなるチームがアジャイル開発で実現にまい進する。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)

 LOVE(ラブ)とROBOT(ロボット)を掛け合わせた「LOVOT(ラボット)」というコンセプトを掲げ、2017年12月に約64億5000万円の資金を調達したロボットベンチャーのGROOVE X。2015年11月の創業以来、同社の累計調達額は80億円に上る。

 製品を一つも出荷していないベンチャーが巨額の資金を集められたのはなぜか。創業者で社長の林要は「言葉だけで調達したのは最初の2億円だけ。その後はコミットしたスケジュールに基づきプロトタイプを作り、投資家に評価してもらった」と語る。

 開発中のロボットは2018年末までに発表し、発表から1年以内に発売する計画だ。当初は家庭向けで屋内利用を想定する。プロトタイプの姿は「機密」。稼働部品が付いているというから、何らかの動作を伴うのは間違いない。価格帯は「気安く買うにはちょっと勇気がいる金額になるが、手の届かないレベルではない」。その理由を「(搭載する)センサーや計算機も相当リッチなものだから」と説明する。

愛着形成のプロセスを再構成

スピードを重視。「何世代もかけた適者生存のプロセスを、ロボット開発では短時間でやりきる」(写真:陶山 勉)
スピードを重視。「何世代もかけた適者生存のプロセスを、ロボット開発では短時間でやりきる」(写真:陶山 勉)

 林はトヨタ自動車在籍中にソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の後継者育成プログラムである「ソフトバンクアカデミア」に飛び込む。2012年にソフトバンクに入社し「Pepper」の開発に携わることになる。退社後も林を「Pepperの父」などと表現する一部メディアに反論する形でソフトバンクが2018年1月に「父でも親でもない」と発表。Pepperの親権問題に巻き込まれ、皮肉にも林の注目度は一段と増した。一連の騒動について黙して語らずを貫くが、GROOVE Xが目指すロボット像を語る林は雄弁だ。

 これまでのロボットは人の代わりに仕事をする「プライスが決まる領域」で働いてきた。林が目指すのは「プライスレスな領域」、つまりお金に置き換えられない価値を提供するロボットだ。とはいえ、以前からある「癒やしや安らぎを与えるロボット」とも異なるという。「やりたいのは人と機械の信頼関係を築くこと」と表現する。

 現代のITは、ともすると「データを集めたもの勝ち、信頼は二の次」といった風潮がある。スマートフォンを筆頭に様々な機器が何らかのデータを取得・収集し、サービス開発などに利用している。利用者はデータの収集をオプトインで承認しているにしても、データの使い道に不安を抱く。

 信頼を得るには「データを取りにいかないことだと思う」。現在のITの潮流とは真逆の発想だが「そもそも、人間関係において相手のデータを集めるようなことはやらないですよね」。