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ヤフーの社長から東京都の副知事に転じて、産業界を驚かせた。民間時代の知見と経験を生かし、東京都のデジタル変革を率いる。世界の都市間競争を勝ち抜き、都民生活の質向上や産業の競争力強化に挑む。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)
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 2020年4月、「スマート東京」と題した東京都のデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の実行に向け副知事、宮坂学がいよいよ本格的に動き出す。

 小池百合子都知事の肝いりで招かれて6カ月あまり、副知事の椅子の座り心地に慣れる間もなくスマート東京戦略の陣頭指揮と予算確保に奔走してきた。そのかいもあり2020年度のデジタル施策関連予算は158億円と、前年度の8倍に上る。「令和2年度は東京都のデジタル変革元年だ。挑戦のための予算を確保した」。

 5GやWi-Fiを都内に張り巡らせて、いつでもどこでも高速インターネットにつながる環境をつくる、データの共有・活用で都の行政サービスの質を高める、都職員の働き方改革を進める、デジタルサービスを通じて都民のQOL(生活の質)を高める――この予算で実現すべきメニューがずらりと並ぶ。「ヤフー時代はネットやスマートフォンアプリが私にとって勝負の場だった。これからは都市そのものが活動のプラットフォームになる」。

 ネット最大手ヤフーの社長を2018年に退任した後、行政の世界に身を転じて世間を驚かせた。それは自身も同じだ。「都庁に出勤するようになるとは、これっぽっちも思っていなかった。本当に不思議」と笑う。

 ヤフーは日本のインターネット業界を切り開いてきた存在だけに、日本のネット業界で二十数年にわたって積み上げた知見や人脈が強みだ。実は行政との関わりも深い。例えばネットオークション「ヤフオク!」の立ち上げの際に、行政を深く知る機会があった。今でこそ当たり前になったサービスだが、スタート当時の1990年代はネット通販ですら珍しかった時代。宮坂は行政側と話し合いを重ね、事業運営や消費者保護のルールを作り上げたとの自負がある。

 ヤフー社長時代には「爆速経営」を掲げて事業変革や意思決定のスピード向上に取り組んだ。副知事の立場でもスピード重視の姿勢は変わらない。「これまでの自分の知識、組織マネジメントの経験を全部使う」。