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通信業界有数の「立ち上げ屋」が東京・渋谷の街づくりに挑む。5G(第5世代移動通信システム)にAR(拡張現実)などの技術を組み合わせ、新型コロナウイルスが去った後、街の「アップデート」を目指す。

 東京・渋谷の街を一望にできる高層複合ビル「渋谷フクラス(旧東急プラザ渋谷)」の広大なルーフトップに新作アニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」のキャラクターが出現。スマートグラスをかけた人たちがアニメの世界に飛び込み、キャラクターと共にミッションを遂行する――。新型コロナウイルスの感染が終息し、渋谷の街ににぎわいが戻ったとき、AR技術を活用した、こんな未来感あふれるコンテンツを体験できるようになるはずだ。

 5G元年といわれる2020年。3月下旬にKDDI(au)など大手通信キャリアは、5Gの商用サービスをこぞってスタートさせた。5Gの普及には魅力あるコンテンツづくりと基地局整備の両輪を回していく必要がある。コンテンツ面でauの5G普及を引っ張るのが繁田光平のミッションだ。社内で繁田は「立ち上げ屋」として知られる。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)
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 2020年1月24日、座りきれないほどの報道陣が詰めかけた渋谷パルコの発表会場で、KDDIは渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会と共に「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」を開始すると発表した。アートや音楽などのエンターテインメント分野で、5GやXRを活用した取り組みを実施していく計画だ。XRとは、VR(仮想現実)やARの総称。攻殻機動隊を題材とするコンテンツもその1つだ。

 「(東急やパルコなど)32もの企業・団体がプロジェクトに参加する。若い頃から刺激を受け、憧れてきた企業と一緒になって渋谷の未来を創っていきたい」。発表会で登壇した繁田はこう語った。

 NTTドコモやソフトバンクは家庭で楽しむVRライブのコンテンツ整備に注力する。そんな競合を尻目にリアルの世界で勝負を挑むのが、繁田が描く5Gの展開戦略だ。

 渋谷の街を実験場として選んだのは、多様なサブカルチャーが生まれてきたこの街に特別な思いがあるからだという。XRなど新しい表現手段をアーティストに提供することで、改めて多様な文化を開花させようとしている。