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AI(人工知能)などのコンテストを通して社会課題の解決を図るSIGNATE。同社を設立したデータサイエンティストはあえて「裏方」に回り、米グーグル傘下の米カグルに対抗し得るプラットフォームづくりを目指す。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)
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 「世界中の人材の知恵を活用し、日本の社会課題などの解決に挑むエコシステムを生み出したい」。SIGNATE(シグネイト)の斉藤秀CEO(最高経営責任者)は自らの志をそう語る。同社はAI(人工知能)開発やビッグデータ分析の優劣を競うコンテストの運営などを手掛けるベンチャー企業だ。

 SIGNATEは顧客とする企業や官公庁に課題を解決する「場(コンテスト)」を提供している。企業などから解決したい課題とともにデータの提供を受け、国内外のAI技術者やデータサイエンティストに課題の解決を競ってもらうプラットフォームを運営する。

 2017年にSIGNATEを設立。これまでJR西日本や武田薬品工業、NTT、日本たばこ産業、経済産業省などの課題を解決するコンテストを開いてきた。例えばJR西日本のケースでは、運行データや気象情報から北陸新幹線の着雪量を予測するモデルの作成を課題にコンテストを開いた。最優秀の予測モデルは実際に活用され成果を上げているという。

 このJR西日本のコンテストを「とても印象深いプロジェクトだった」と振り返る。当時、JR西日本はデータ分析などを担う専門部署づくりも進めていた。コンテストの中でデータ分析などの能力を見いだされた社員は専門部署に異動し、社内の課題解決に携わるようになったという。コンテストの開催が、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進基盤となる組織を生んだのだ。

 少子高齢化など日本の社会や企業はさまざまな課題を抱える。一方で、課題解決を担うAI技術者やデータサイエンティストが国内で不足している。コンテストを通じて、日本の社会や企業の課題解決のために世界中の人材の結集を目指す。

 「いわば『人材の仮想化』だ。優秀な国内外の人材を社会全体でシェアして、必要な時に彼らの知恵を活用できれば効率的に課題解決を図れる」と斉藤は語る。多くの企業がクラウドで演算能力をシェアしているように、課題解決能力のある人材も特定の組織で囲わずシェアすべきという考えだ。

 日本は「課題先進国」と言われるほど課題の宝庫だ。コンテストという賞金付きの腕試しの場を提供することで、組織にとらわれず大きな課題に取り組みたい人材のネットワークづくりを目指している。

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