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ドルトン東京学園 中等部・高等部はICTを積極的に活用する中高一貫校だ。「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」校長の荒木貴之は、かつて出会ったアラン・ケイの格言の実践を目指す。

(写真:陶山 勉)
(写真:陶山 勉)
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 ドルトン東京学園中等部・高等部(東京・調布市)は2019年4月に開校した私立中高一貫校だ。ICTを積極的に取り入れた教育が、国が進める「GIGAスクール構想」の先進例として脚光を浴びる。荒木貴之は同校の設立に関わり、2020年4月から校長を務める。

 同校では私物端末を学校でも使うBYOD(Bring Your Own Device)を採用し、全ての教室に無線LANを整備する。生徒は端末を自由に持ち運び、ふだんの授業や家庭学習に使う。成績や学習の履歴はクラウド上のシステムで管理する。「学校には最先端のデバイスや豊かなネットワークが必要だ」。荒木はそう考える。

 教育におけるICT活用に長年取り組んできた。最初の挑戦は2006年。教頭を務めていた立命館小学校で児童に1人1台の小型タブレット端末を導入した。ロボットを使って学ぶ「ロボティクス科」も設置した。科学・技術・工学・数学に重点を置くSTEM(ステム)教育を目指すという、当時としては先進的な試みだった。

 ドルトン東京学園で最初に着手したのはオンライン授業の導入だった。校長に着任したとき、同校は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて約1カ月間臨時休校を続けていた。「これ以上学びは止められない」。荒木は着任初日、教員会議でオンライン授業の導入を提案した。教員らも同様の問題意識を持っていたようで、オンライン授業は4月13日に実現する。教員を後押しし、就任からわずか2週間でコロナ禍で学びを継続する環境を整えた。

 教育におけるICT活用の研究者という顔もある。荒木は2015年に50代で東北大学大学院に編入学し、約5年かけて博士号を取得した。「日本の教育におけるICT化の遅れを何とかできないか」。仕事の傍ら研究に打ち込んだ。

 研究テーマは「非同期型eラーニング」。学習管理システムなどを通して指導者と時間差でやり取りしながら自分のペースで学ぶスタイルのことだ。荒木は、非同期型eラーニングで生徒が主体的に学ぶための方法を探り、仲間や先輩など身近な熟達者の存在が重要であることを明らかにした。