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「丸亀製麺」など国内外約1700店舗を展開するトリドールホールディングス。2022年までに既存の独自システムを破棄しSaaSの全面活用に踏み切った。改革を主導するCIOに「内製しないDX」の真意と今後の取り組みを聞いた。

磯村 康典(いそむら・やすのり)氏
磯村 康典(いそむら・やすのり)氏
1993年富士通にシステムエンジニアとして入社。2000年にソフトバンク、2008年にガルフネットで執行役員に就任。2012年にOakキャピタルの執行役員を務めたのち、2019年にトリドールホールディングスに入社し、現職。(写真:陶山 勉)
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 「これは運命だ」。トリドールホールディングス(HD)からCIO(最高情報責任者)に就任しないかと声がかかったとき、そう思った。

 実は、前々職のIT企業を退職する直前に、あるシステムの導入をトリドールHDに提案していた。後任に委ねる形になり申し訳なさを感じていたので、これも縁だと思い入社を決めた。

 2019年9月に入社したが、その1カ月前から社内システムについて情報収集を始めた。前々職のときに把握していたシステム構成と基本的に変わっておらず、さらに雑多なシステムが追加されていた。

 一番の問題は誰もシステムの全体像を把握していないことだった。部門ごとにシステムを導入しており、全社レベルで統制できていない。これまでのシステムは一度全て捨てて、ゼロから作り直したほうがよいと判断した。