三菱食品が約20年使ってきた基幹システムの刷新を進めている。1日400万件の取引をさばく巨大システムを8年がかりで移行する。CIOは気の抜けない作業の指揮を執りつつ、デジタル変革への布石を打つ。
私は2013年に三菱食品に出向して以来、一貫して従来の基幹システムから新しい「MILAI(ミライ)」に刷新・移行するプロジェクトに携わっている。2021年11月までに移行を完了する予定だ。
私は三菱商事に入社してから情報システム部門やシステム子会社などIT分野で働き、ERP(統合基幹業務システム)パッケージ導入などの大型プロジェクトを手掛けた。だがMILAIはさらに規模が大きく、重要度が高いシステムだ。三菱食品の仕入れ先は約6500社、スーパーなどの得意先(販売先)は約9000社もある。1日に400万件近い受注・出荷を扱い、それに伴う物流や経理もつかさどる基幹システムは卸売業の生命線だ。365日24時間にわたりほぼ止められない。食品卸売業は薄利多売のため、システムコストは全体の利益率に大きく響く。