顧客接点となるシステムには米セールスフォース・ドットコムのプラットフォームサービス「Marketing Cloud」を採用した。顧客への情報配信などはクラウドで処理する。個客データをきめ細かく分析し、顧客に最適な情報を配信する仕組みは、今日に至るまで内製で繰り返し作り変えてきた。

 モード2のシステムはモード1の勘定系システムとデータ連携する必要がある。しかし、モード2の開発担当者がモード1のシステムの詳細な構造を理解するのは難しい。そこで両者を仲立ちする中間システムも作った。このシステムはモード1からモード2に必要なデータを抽出する処理だけを担わせる。モード1のシステムを触ることなく、顧客のニーズに合ったシステムを手早く作れるようになった。

 2018年4月にはIT部門内に20人体制のDX推進グループを設け、モード2の開発を加速させている。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入も彼らの担当だ。勘定系システムには「2月1日になったら住所変更する」といった機能がない。従来は未来日付での住所変更の情報を台帳にしておいて、その日が来てから個別に反映するなど手間がかかっていた。そこでDX推進グループが動いて、RPAで作業を自動化した。このほか既に十数個のソフトロボットが動いている。

100人のIT人材を利用部門に輩出

 人材育成の仕組みも変えた。システム装置産業である以上、どの部門の社員もシステムのことを知っていたほうがよい。そこで私が転職してきた10年前に人材交流のキャリアパスを制度化した。入社2年目の若手社員をIT部門に異動させ、最大で5年間働いた後に他部門に出すという内容だ。これまでにITが分かる人材を約100人「輩出」してきた。

 この制度を続けるには、IT部門が魅力的でなければならない。働きやすく魅力的な部署にするため、「課題共有型」の組織として運営するよう心がけている。私は「何をこうしろ」という指示はほとんどしない。「AI(人工知能)が進化すればシステムの作り方も変わるよね」といった投げかけをする。自分の考えを押しつけず、あくまで部下に自主的に考えてもらう。

 併せて他部門向けのシステム研修も実施している。IT部門の3~4年目の若手に「与信照会」などの個別テーマについて講義してもらう。設計を通じて業務に精通しているので、自信を持って話せる。他部門の人に「IT部員は若い人でもこんなに詳しいのか」と感心してもらって、人を出してもらいやすくするのが狙いだ。