人材派遣や転職情報などをグループで手掛けるパーソルホールディングス。デジタルを活用した新サービスなどの創出を目指し陣容の強化を急ぐ。その旗を振るCIOに「人材サービス業におけるデジタル人材戦略」を聞いた。
パーソルホールディングスは2022年4月にCDO(最高デジタル責任者)職を新設し、私がCIO(最高情報責任者)職も兼務する形で就任した。デジタルによる事業創出やサービス開発の強化といったデジタル戦略に注力することに加え、ITインフラやセキュリティーなどIT・デジタル全般を私が責任を持って統括するためだ。
現在、着任時に約50人だったデジタル部門の人員を大幅拡充する形で、事業創出に参画できるデジタル人材の中途採用に着手している。2023年3月時点で100人弱まで増やした。2023年度からは毎年50人以上を採用し、数年で最低200人以上の規模に拡大する方針だ。狙いは持ち株会社からグループ各社の新規プロジェクトにデジタル人材を送り込み、グループ全体の内製力を強化することだ。
人材派遣や転職情報など、当社がグループで手掛ける人材サービスの事業領域は、デジタル化の取り組みが不可欠だ。データを活用して労働を可視化することで、新しい働き方を支援するサービスなどの開発力が問われている。グループ会社による個々の取り組みでは限界がある。持ち株会社が経験豊富なデジタル人材を充実させることで、取り組みを加速させたい。
我々が求めるデジタル人材は3つに分類できる。デジタルの知識と実務経験に基づいてビジネス企画ができる人材、データ分析にたけたデータサイエンティスト、そしてビジネス企画やデータ分析手法をシステムに実装できる開発エンジニアである。
デジタル人材の需給はひっ迫しているが、幸いにして欲しい人材をおおむね採用できている。特にビジネス企画ができる人材はこれまで採用が難しかったが、最近は必要な人材を採用できる状況になってきた。企業でデジタル事業の立ち上げを担った実務経験者の転職はまだ少ないが、DX(デジタル変革)関連のコンサルタントが転職市場に出てくるようになったからだ。