データサイエンティストに舞台

 我々は全国に約2万1000店を持ち、各店には1日当たり約1000人の顧客が訪れる。毎日2000万人以上の顧客を迎えているわけだ。米アマゾン・ドット・コムはプラットフォーマーと言われるが、我々もまた実生活におけるプラットフォーマーだと考えている。

 アマゾンは祖業がECなのに対して、我々は店舗であるという違いだけだ。顧客を起点とするという意味では、アマゾンも我々も同じ。顧客とのエンゲージメントをどう強化していくかがポイントになる。実店舗を持つ強みをどれだけ生かすのか。その結果、ロイヤルティーをどれだけ高められるか。そのような観点に立つことが、デジタル戦略の要諦になると考えている。

 2019年上半期には独自のスマートフォンの決済アプリをリリースする計画だ。nanacoという「板カード」による決済から、双方向性のあるスマホ決済に進化する。新たな決済手段はオープンな決済システムにする予定だ。一緒にやりたいという企業があれば、同じ小売業であっても積極的に開放していきたい。

 喫緊の課題はデータサイエンティストの不足を解決することだ。決済やアプリ、ポイント、EC、他社との協業などから多様なデータを得られるのが我々の強み。データサイエンティストが実力を発揮するうえで他にはない舞台だろう。当社に集まるデータの量と質に魅力を感じてもらえれば、データサイエンティストを増やしていけると思う。

イスラエル、中国の動向に関心

 新しいアイデアや技術について、常にアンテナを張ることも私の仕事だ。定点的に見ているのは、シリコンバレーとイスラエル。中国については壮大な社会実験の場として興味深い。視察にも訪れており、少なくとも情報で劣後しないようにしたい。

 海外の動向でとても参考になるのは、プラットフォーマーとスタートアップが協力して、データ分析などのPoC(概念実証)を次々とこなしている点だ。我々もスタートアップとは協業にとどまらず、資本提携やM&A(合併・買収)など様々な形でつながりを持ち得る。技術や世の中がめまぐるしく変化しても、原点は顧客との関係性。そこを押さえつつ、新たな挑戦に踏み出したい。