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外資系製造業から転じたCIOが就任8年目に入った。基幹システム刷新とメインフレーム撤廃、クラウド移行などを経て、いよいよこのインフラを生かし、業務の本丸でのデータ活用に踏み込む。

喜多羅 滋夫(きたら・しげお)氏
喜多羅 滋夫(きたら・しげお)氏
1989年米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)日本法人入社、システム開発・運用などに従事。2002年に米フィリップモリス日本法人に入社し、2008年から日本の情報システム部門を統括。2013年4月に日清食品ホールディングスにCIOとして入社。
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 私がCIOとして当社に入り、2020年4月で8年目になる。その間、ITインフラを順次整備し、経営や業務において客観的なデータで意思決定ができる仕組みづくりを進めてきた。

 メインフレームで動くレガシーシステムが残る昔ながらの日本企業だった当社での最初のミッションは、欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)を導入することだった。まず日清食品本体で動かし、グループ企業でも稼働させ、40年使い続けてきたメインフレームを撤去した。そんなふうに一つひとつ仕事を片付けてきた。

 ERPは当初オンプレミス環境で構築したが、2019年9月までにパブリッククラウドのMicrosoft Azureへと移行した。当初のIT部門の実力とERP全面導入プロジェクトの大きさとのバランスを考えると、いきなりクラウド上に構築するのは無理があった。そこでまずオンプレミスで構築してから、クラウドに乗せ替える手順を踏んだ。

 コストの低減に加え、業務の変化に応じて性能を柔軟に変更できるようにするのが狙いだ。帳票を出力する処理の負荷が重くて数分の遅延が出るようになった際は、Azure上のリソースの割り当て設定を変えるだけで遅延を解消できた。こうした柔軟な運用はオンプレミスではできない。