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 当初、EC業界で使われていた受発注・在庫管理システムの導入も考えたが、機能の制約が多く自社の業務に合わなかった。そこで私の後に入社したエンジニアと自社開発に乗り出したところ、興味深い情報を得た。ECを手掛ける他の事業者も同じ悩みを抱えているという。「これはビジネスになる」と考え、自社向けシステムを基に開発したのが、EC事業者向けに提供する「ネクストエンジン」だ。

 ネクストエンジンはネットショップ運営に必要な業務をできる限り自動化するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として2008年5月に提供を始めた。複数モールに店舗を展開するEC事業者の受発注や在庫管理、決済を一元的に処理できる。自らもネットショップを運営する企業のシステムである点が強みとなり、現在約3600社の契約を獲得するまでになった。

 2018年4月期の連結売上高93億7600万円のうち、ネクストエンジンによるプラットフォーム事業の売り上げが12億3800万円を占める。経済産業省と東京証券取引所が選ぶ「攻めのIT経営銘柄」に2018年まで3年連続で選ばれ、2019年も「IT経営注目企業」に選定された。

常に新しいことに挑戦させる

 ネクストエンジンが成功したからといって、それだけに満足しているわけではない。今では韓国の開発拠点を含めてグループ全体で約70人のエンジニアを抱える。特定のシステムにエンジニアが固定されてしまうと、新しいことにチャレンジできなくなる。普通の保守運用の仕事と変わらなくなってしまい、エンジニアも成長できない。

 ネクストエンジンなど既存のシステムに関わるエンジニアが成長できるように、小さな開発プロジェクトを立ち上げたり参画したりするのを積極的に許可している。新しいことを始める時にゼロから勉強するよりも、以前触ったという経験やアイデアの「引き出し」を多く持っていたほうが、新事業の立ち上がりも早まるからだ。

 最近はエンジニアらの勉強を兼ねて社内イベントを開催している。今年は「社内で使えるもの」という共通テーマに沿えば何を作ってもよいとした。エンジニアが10チームに分かれて週1回程度、短時間の開発を積み重ねてシステムを作る。会社が予算を付け、役員陣にお披露目して優劣を競う。

 昨年のイベントでは、IoT(インターネット・オブ・シングス)を活用したガジェットを作るチームもあり、普段の仕事では分からないエンジニアの興味や関心が分かって有意義だった。こうしたイベントも定期的に実施して、グループ全体でそれぞれのエンジニアのスキルをうまく共有する強い組織にしていきたい。