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マーケティングが「本職」のCIO(最高情報責任者)が行政組織を変える。渋谷区はいち早く業務のデジタル化を進め、区民サービスも充実させた。根底にあるのは「区民はお客様」という信念で、職員の意識改革も促す。

澤田 伸(さわだ・しん)氏
澤田 伸(さわだ・しん)氏
1959年大阪市生まれ。1984年立教大学経済学部卒業後、飲料メーカーのマーケティング部門を経て、1992年より広告会社でアカウントプランニング業務に携わる。外資系アセットマネジメント企業で執行責任者などを歴任し、2015年10月より現職。(写真:陶山 勉)
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 民間企業を経て、2015年に渋谷区の副区長に就任した。実は、副区長になったらCIO(最高情報責任者)の役職も付いてきた。私はITの専門家ではないが、むしろ専門家でないほうが成果を出せるとの自負を持って、CIOの職務に取り組んでいる。

 就任して最初の1カ月で、職員の情報環境があまりにも悪いと気付き、まずそこから変える必要があると考えた。そこで2019年1月の新庁舎への移転に合わせて、ICT基盤を刷新した。無線LANと約2000台のMicrosoft Surface Pro 6を導入し、フリーアドレスのオフィス環境を実現した。

 ただし2023年1月に再び端末やICT基盤を刷新する計画だ。現行のSurface Proはバッテリーの持ちが悪く不便なため、約15時間連続使用ができる端末に切り替える。古い端末を使い続けて業務に支障が出るようではいけない。いち早く最新の端末に切り替えることで、業務の迅速化を図る。それが「お客様」である区民のためだと考えている。

 同時に2019年に小規模で導入したMicrosoft Azureの利用を広げて業務の効率化を図る。行政文書や契約書も電子化してペーパーレスを進める。法律の壁はあるが、紙をゼロにすることを目指している。

 職員同士のコミュニケーションにはMicrosoft Teamsを活用しており、職員が所有する端末の利用も認めている。実は、私自身も自分のスマートフォンでほとんどの業務をこなしている。24時間、365日いつでも業務環境に自身のスマホでアクセスできることは、災害発生時の対応などで大きなアドバンテージとなる。例えば地震の際には、施設の安全状況などを職員全員が即座にチャットで確認できる。