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製薬大手の大日本住友製薬が2020年4月、全社員を在宅に移行させた。ところが、3000人の同時テレワークで、VPN(仮想私設網)に渋滞が発生。VPN装置のチューニングや利用方法の修正などで危機を乗り越えた。

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 「全社員約3000人が一斉にアクセスし始めたことで、VPN(仮想私設網)の速度問題に直面した」――。こう語るのは、製薬大手である大日本住友製薬でIT&デジタル革新推進部を率いる西田道夫部長だ。

 同社は2020年4月7日に新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が出たことに伴い、全社員がテレワーク環境に移行した。それによって社内に置いていたVPN装置に負荷が集中し、処理が遅延してしまった。同社が大急ぎで進めたVPN速度問題の解決がどのようなものであったか、詳しく見ていこう。

 同社においてコロナ禍以前にテレワークをしていたのは、外出の多いMR(医薬情報担当者)や、育児・介護との両立にテレワークを利用している社員など一部に限られており、350人規模での利用にすぎなかった。

図 大日本住友製薬のテレワーク規模と実施環境
図 大日本住友製薬のテレワーク規模と実施環境
2020年4月から全社員約3000人がテレワークに移行(写真:大日本住友製薬)
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 状況が変わったのは横浜港に到着したダイヤモンド・プリンセス号における新型コロナ感染拡大に関する報道が続いた2020年2月のことだ。新型コロナ対策が世間でも意識され始め、MRによる病院や医薬品卸売会社、大学の研究者への訪問についても自粛が求められるようになった。そこで同社は2月末に、テレワークの対象者を500人に拡大した。

 続く3月末には、テレワークに対応しやすい部署に広げて800人規模にした。4月頭にはテレワーク対象者を1000人超に拡大し、4月7日の緊急事態宣言後には全社員に広げて、MRや本社スタッフ、研究開発担当者、医薬品生産の担当者など約3000人がテレワークをすることになった。