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花王がデータレイクの構築を通じ、データ活用を深める体制を整えている。売り上げ関連のデータレイクを構築し、作業効率化など効果を上げている。過去の反省を生かし利用者と継続的にコミュニケーションを図る。

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(写真:花王)
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 花王は、全社に散在する各種データを統合的に管理する「データレイク」の構築を進めている。2022年3月には売り上げ関連のデータレイクの構築を完了した。ハンドソープなどの日用品から化粧品まで多岐にわたる商品を展開する花王。日本だけでなく、アジア・欧米圏などにも市場を広げる。日々変化する消費トレンドに対応するためには、データは重要な資源だ。

 売り上げ関連のデータレイクの完成により、さまざまな業務改善を実現した。例えば、売り上げ関連のデータ抽出・加工に関する業務だ。

 データレイク基盤を整えたことで、現在は毎朝、自動でPDF形式のリポートを出力し部長クラス以上の社員にメールで共有できるようになった。リポートの中身は、事業部ごとの予算や売り上げ実績について月次と年度内の累計などのデータである。

 従来は毎朝、現場の若手社員などがデータを抽出・加工し、上司に提出していた。人の手による抽出・加工のため、誤りも生まれやすくなり、時間もかかる。平均1時間程度はかかっていたため、データが意思決定層に届くのは昼以降になることもしばしばあった。

 自動化によりこうした単純業務を減らせた。こうしたデータ施策を通じて現場の社員の負荷を下げ、データを活用した戦略や新商品の立案などに時間を多く割ける状態を目指す。花王 情報システム部門CRM部の狩俣謙次マーケティングデータプラットフォーム担当部長は「自動化できる部分は自動化を進め、人間でなければできない仕事に集中してもらえるようにしたい」と意気込む。

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