カゴメが生鮮トマトの収量を5週先まで予測するAIモデルを開発した。100以上の項目からなる十数年分の菜園週次リポートを深層学習に生かした。熟練でも難しい長期予測を可能とし、小売店へのトマトの安定供給を見込む。
「(農協に作物を卸す)一般的な農家は今週、来週の収量を予測できれば十分なケースが多い。だがカゴメは生鮮トマトの生産に加え営業も手掛けている。小売店などとの商談の方針を固めるうえで、約1カ月後に生鮮トマトがどのくらい収穫できるか予測が立つことに意義がある」。カゴメの今森久弥イノベーション本部農資源開発部生鮮トマト開発グループ主任はこう語る。
カゴメは5週先の生鮮トマトの収量を予測するAI(人工知能)モデルを開発し、2022年4月から国内の5菜園で栽培するトマトの収量予測に活用し始めた。収量予測AIの開発には、カゴメと契約している各地の菜園が週次で作成しているリポートを学習・検証用データとして活用した。週次リポートのフォーマットはカゴメが指定しているため、各菜園で共通だ。菜園の担当者がトマトの種類ごとに気温や湿度、水やりの量などを記録している。