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携帯電話の売り場で絶大な効果

 ノジマは電子棚札システムの導入費用を公表していない。貞森グループ長は「社内でも別枠で予算を組んで基幹システムの刷新に近い費用をかけた」と、同社にとって軽くない投資負担だったと強調する。全店舗の全ての商品に付ける電子棚札やアクセスポイント、システムの改修費などがかかったという。大規模な店舗の取扱商品数は1万点以上あり、その分だけ電子棚札の調達コストがかさむ。

 それでも導入効果は明白だという。毎週本社から送られる価格データを基にラベルを印刷して張り替える作業に人手を割く必要がなくなった。

 値段の更新頻度が高いほど作業時間が増えてしまう制約もなくなった。貞森グループ長は「値段を張り替える作業時間を減らして店舗の強みである接客時間を増やし、顧客の購買行動を促せるようになった」と手応えを語る。

 とりわけ効果が大きいのは携帯電話の売り場だという。

 携帯電話は通信キャリアが新機種を次々と投入するだけでなく、一括や分割の支払い、頭金の額といった細かな契約条件を刻々と変えている。携帯電話キャリアが午後8時に契約条件を変更して、即座に店舗内での表示内容に反映するよう求める場合もあるという。店舗はこうした細かな契約条件を逐一正確に表示しなければならない。「絶対に間違いがあってはならないが、電子棚札であれば間違いは起きにくく、店員に喜ばれている」(貞森グループ長)。

 電子棚札はアイデア次第で自由に画面の表示内容を設計できる。そこでノジマはパナソニックのデザインツールを使い、電子棚札に表示するデザインのパターンを自前で用意した。

図 電子棚札の棚札デザインツールの画面例
図 電子棚札の棚札デザインツールの画面例
ノジマは全デザインを自前で用意(画面出所:パナソニック)
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 ノジマには店舗内の棚札やポップサインなどのデザインを専門に担当する社員が3人いる。電子棚札については商品のメーカーや型番、値段を表示したりするだけでなく、デザイン担当者が商品ごとに営業責任者やバイヤーと打ち合わせて赤色や黒色を使って何を目立たせるか決め、表示する内容を作成するようにした。

 具体的には電子棚札の表示部の最上段に商品の型番を示す枠を作り、2番目にメーカー名、その下に値段を表示するようにした。このほか新店オープンのお知らせを表示したり、店内で目立つように点滅させたりもできる。

 さらに最下段には店員だけが判別できる情報を表示している。ノジマはこの情報の中身は明かしていないが、接客時に参照できる最新情報を表示しているという。

 ノジマの独自デザインには、電子棚札システムを設計したフランスのセス・イマーゴタグも注目した。結局ノジマは断ったものの「ノジマのデザインを他社でも使いたいので買いたい」と提案してきたほどだったという。

 ノジマは電子棚札のプラスチック製の留め具も専門メーカーに依頼して自前で用意した。既製の留め具はコストが見合わなかったため、ノジマの依頼で試作を繰り返した特注品という。