米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の日本法人、日本ヒューレット・パッカード(以下HPEと略記)と日本IBMが相次いでパブリッククラウドサービスへの「対策」を発表した。HPEとIBMの法人顧客に食い込み始めたパブリッククラウド、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とマイクロソフトAzureを阻止するためである。

ハードとソフトを従量課金で提供

 HPEが2018年2月15日に開始したのは「HPE GreenLake」。顧客が自社で所有して使うサーバーやストレージなどのITインフラをパブリッククラウドと同様の従量制・月額課金方式で提供する。ビッグデータ&アナリティクス、オープンデータベース、エッジコンピューティング、SAP HANAなど、ソリューションごとにプリパッケージしたITインフラを取りそろえた。HPEはパブリッククラウド事業から撤退したものの、従量課金方式を望む顧客に応えることで、AWSやAzureがHPE顧客で広がらないようにする。

 一方、日本IBMは2月19日、パブリッククラウド「IBM Cloud」を、IBMの屋台骨を支える大企業にも積極提案する戦略転換を発表した。既存のIBMサーバー上でVMwareを使って動かしているアプリケーションをIBM Cloudでも動かす。サーバーとIBM Cloudのハイブリッド環境を実現するために「VMware Hybrid Cloud Extension(HCX) on IBM Cloud」と呼ぶサービスを2月19日から提供する。

 これまで日本IBMは中堅・中小企業(SMB)やスタートアップ向けにIBM Cloudを提案し、大企業顧客にはIBM製品を自社保有してもらうことを第一義としてきた。しかし、AWSやAzureがIBM顧客の大企業に入りつつあるため、「パブリッククラウドにはパブリッククラウドで」対抗する。

 10数年前に出現したパブリッククラウドは、HPEやIBMそして富士通といったサーバーメーカーに打撃を与えている。米IDCが発表した予測によると、2021年にクラウド全体の世界売上高は5540億ドルに達し、このうちパブリッククラウドが48%を占める。スイスの投資銀行UBSの見立てではIBMの売上高の40%以上がパブリッククラウドと直接競合する製品やサービスからもたらされている。IBMの売上高が22四半期連続で前年同期を下回った理由はパブリッククラウドの普及と契約更改を迎えたアウトソーシング事業の値下げであろう。IBMはメインフレームの新製品出荷効果で2017年10~12月期に23四半期ぶりのプラス成長に戻したが今後も予断を許さない。

 2015年に企業分割で誕生したHPEもハード事業だけをみると9四半期中5四半期がマイナス成長だ。富士通のテクノロジーソリューション事業は9四半期連続でマイナス成長が続く。