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 2020年の国内サーバー市場の売上高は前年比4.1%減の4943億円となり4年ぶりにマイナス成長を記録した。実は2020年は富士通の「富岳」などスーパーコンピューター3件の“非日常的”な売り上げが520億円もあり、それらを除くと4423億円で14.2%減と2桁の減少になる。

図 国内サーバー市場動向(2021年以降は予測)
図 国内サーバー市場動向(2021年以降は予測)
2021年まで減少が続く(出所:IDC Japanデータを基に作成)
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会議とストリーミングが成長

 売上高を調べたIDC Japanは落ち込んだ理由を「クラウドシフトが加速し始めたところにコロナ禍が起き、クラウド利用をさらに後押しした」(エンタープライズ・インフラストラクチャ・グループの福冨里志グループマネージャー)と話す。

 クラウドの利用分野としては「在宅勤務や大学のオンライン授業を支えるミーティング系クラウド、ライフスタイルの変化に伴う映画やゲームなどストリーミング系クラウド」が伸びた。IT投資への余力が低下した企業や団体もクラウドは利用したという。

 サーバーの売り上げ減は2016年にも起きた。当時は3年ぶりの落ち込みで前年比12.8%減。IDC Japanは「金融や官公庁のメインフレーム切り替えの一巡」に加え、「顧客サーバーのクラウドへの集約」を理由に挙げていた。

 国内のサーバー売上高は2021年も減る見通しだが、2022年以降になると緩やかに回復する、とIDC Japanは予測している。5G関連のインフラ投資が増えるほか、米中対立を受けてグローバル企業が香港に置くサーバーを日本へ移設するとみられるからだ。政府が打ち出した外資系データセンターの誘致策もプラス材料になりそうだ。

 サーバー市場を侵食するクラウドについてもIDC Japanは調査している。2021年3月に発表した、2020年のパブリッククラウド市場規模は前年比19.5%増の1兆654億円になった。この実績は2016年に出した予測値の1.5倍である。上振れしたのはコロナ禍の影響だろう。

ITインフラの55%がクラウドに

 ただし企業ITインフラ市場の内訳を比較すると日本のクラウド利用は世界の傾向からずれている。IDC Japanによると2020年の国内ITインフラ市場の内訳はパブリッククラウドが21%、プライベートクラウドが10%、伝統型が69%だった。クラウドの比率は3割を超えたところだ。

 これに対し、米IDCがまとめた2020年の世界ITインフラ市場はパブリッククラウドが40%、プライベートクラウドが15%、伝統型は45%。また米シナジー・リサーチ・グループによると、2020年に世界で販売されたサーバーの62%がパブリックなクラウドサービスあるいはプライベートなホスト型クラウドサービス向けになっており、世界市場ではすでにクラウドがメジャーになっている。日本はまだクラウド後進国と言えそうだ。

北川 賢一(きたがわ・けんいち)
北川 賢一(きたがわ・けんいち) 新聞社・出版社を経て、1983年から日経コンピュータ記者。日経ウォッチャーIBM版と日経情報ストラテジーの2誌を創刊し、編集長を務める。現在は日経クロステック兼日経コンピュータ編集