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 使える地域を限定し、その地域内でモノやサービスを購入できる独自の電子決済手段を指す。主な目的は、東京都など都心の本社を持つ企業に吸い上げられがちな資金を地域内で流通させ、地元経済を活性化させることにある。2018年末時点で全国に200種類近くが存在しているという。

 従来の地域通貨は紙幣のような形状だったり通帳型だったりするが、最近はスマートフォンでQRコードを読み込んで決済するタイプが急増している。岐阜県飛騨市の飛騨信用組合が2017年12月から提供する「さるぼぼコイン」、千葉県木更津市や君津信用組合が2018年10月から提供する「アクアコイン」が有名。2019年11月には近鉄グループホールディングスが三重県伊勢志摩地域で「近鉄しまかぜコイン」の運用を始め、2019年6月には鹿児島銀行が「Payどん」の提供を開始している。2020年度には福井銀行と福井新聞社が福井県内でのサービスを開始する計画だ。

 QRコード決済方式のデジタル地域通貨が主流になっている理由は、運用コストが比較的安価だからだ。紙の地域通貨は印刷するコストがかかり、店舗が受け取った地域通貨を換金する際の確認や保管などに人手が必要だった。QRコード決済であれば印刷の必要はなく、電子データのため換金処理なども容易だ。Suicaなどの非接触型ICカードによる決済と比較しても、専用の読み取り機が不要というメリットがある。

 店舗ではQRコードを掲示しておくだけでよく、導入も手間があまりかからない。政府による5%などのキャッシュレス・消費者還元事業やキャッシュレス決済の利用機運の高まりも追い風に、デジタル地域通貨の導入ブームは当分続く見込みだ。

地方のキャッシュレス決済のきっかけに

 しかし、一過性のブームに終わらずに地域の決済手段として定着するには、乗り越えなくてはならない課題が存在している。それは決済手段にとって両輪の関係にある使う人と使える場所をいかに増やすかだ。

 使う人を増やす取り組みでは、木更津市が2019年11月、アクアコインで積極策に打って出た。銀行口座に振り込む市役所職員の給与から任意の金額をアクアコインに自動チャージする仕組みを導入したのだ。アクアコインの関係部署の50人からスタートしたが、1000人の全職員に徐々に範囲を広げていく予定だ。

 使える場所の拡大では、鹿児島銀行が熱心に開拓を進めている。地方銀行としての地元とのつながりを生かし、Payどんが利用できる店舗を2019年末の110カ所から1000カ所に増やす計画だ。交通機関を運営するいわさきコーポレーションや南国交通、鹿児島市交通局ともPayどんを使えるようにする方向で交渉を進めている。

 高齢者がスマホを使いこなせない、店舗が受け取ったデジタル地域通貨の次の使い道がないなど他にも課題はあるものの、デジタル地域通貨が地方にキャッシュレス決済を普及させるきっかけになりそうだ。