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国土交通省は2017年12月末に電子納品チェックシステムの不具合を公表した。公共事業の受注企業がCADデータなどを納品する前にチェックするために使う。国交省が定めたルール通りのデータでもエラーと誤判定する事象が発生。修正後に別の不具合が発生するなど、混乱につながった。17年にわたり改修を重ね、ソースコードが複雑になっていたことが背景にあった。

 国土交通省は2017年12月27日、建設・土木企業などに向けた電子納品チェックシステムに不具合があると発表し、謝罪した。2018年1月11日までに不具合を修正したが、別の不具合が判明。2018年2月23日までに3度にわたり修正を重ねた結果、ようやく不具合は収束した。

 電子納品とは、公共事業を国交省から受注した企業が、図面データなどの最終成果物を電子化して国交省に納品することを指す。同省は2001年度から導入を始め、2004年度から全ての公共事業で電子納品を義務付けている。国交省が手掛ける工事や調査の契約件数は、1年間で1万7000件(2016年度実績)に上る。受注企業は電子納品を正しく実施しないと契約を完了できない。

 電子納品チェックシステムは、公共事業の調査や工事の終盤で多く使われ、年度末の3月に利用が集中する。国交省大臣官房技術調査課の伏木章尋課長補佐は「今回の不具合が2018年3月のピーク前に解消できなければ、電子納品のチェックが滞り、公共事業の各現場が混乱しかねなかった」と語る。

 電子納品業務の基幹ともいえるチェックシステムの不具合がなかなか収束しなかった背景には、17年間にわたり改修を重ねたプログラムのソースコードが複雑化していたことがあった。国交省への取材を基に、経緯を振り返る。

データの仕様をそろえ再利用を促す

 電子納品の対象になるのは、橋や道路といった土木、電気通信設備、機械設備に関する公共事業で作成した、調査や設計、工事に関する図面データなどの最終成果物だ。

 データの種類は多岐にわたる。例えば土木設計業務の場合、業務の管理情報、設計計算書や施工計画書、CAD(コンピュータによる設計)ソフトを使った図面データ、測量結果のデータ、ボーリング調査の結果である地質データなどを納品する。

 電子納品チェックシステムは、これらのデータが国交省が定めた電子納品要領や基準に沿っているかどうかをチェックするWindowsアプリケーションソフトだ。国交省のサイトから無償でダウンロードできる。

 国交省は電子納品するファイル群を格納するフォルダの構成や、ファイルの命名規則、電子成果物全体を管理するXMLファイルの内容などのルールを定めている。命名規則はファイル内のデータにもおよび、例えばCADデータなら図の枠や背景、主構造物といった図面の構成要素を階層的に整理するレイヤーの命名もルール化している。

 これら複雑なルールに沿って最終成果物を整備できているかを一発でチェックできるのが電子納品チェックシステムだ。公共事業を受注した企業の担当者は、ハードディスク上のフォルダに最終成果物一式を格納したうえでシステムにかける。

 するとチェックシステムが「シリアル番号は半角数字だけで設定するはずなのに、それ以外の文字が使われている」などルールに合わない個所をエラーとして一覧表示する。企業の担当者はこれを見て、ファイル名やフォルダの構成などを修正。エラーをなくしたうえで、CD-Rなどのメディアに記録し、地方整備局をはじめとする国交省の拠点に納品する。

 こうした細かいチェックが必要なのは、最終成果物を共有したり再利用したりしやすくするためだ。国交省は電子納品データを電子納品・保管管理システムに格納。橋やトンネルなどのメンテナンス業務に携わる職員は、必要な図面データをすぐ検索できる。

 オープンデータの推進にも寄与する。国交省は電子納品されたデータのうち地質データについて、災害対策などの参考にできるよう、同省などが運営する地盤情報検索サイト「KuniJiban」で一般公開している。