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地方銀行8行とローソン銀行で2022年3月26日にシステム障害が発生した。各行のATMやネットバンキングなどが10数時間にわたって利用できなくなった。原因はキンドリルジャパンのデータセンターで発生した電源障害だった。発電機の点検中に切り替え装置が停止し、サーバーなどへの電力供給が滞った。2020年にも電源障害が発生しており、実効性のある再発防止策が欠かせない。

 「ネットバンクもATMも使えず、銀行内であたふたしている」「給料日翌日なのに悲しい」――。2022年3月26日土曜日、SNS(交流サイト)上にはATMなどオンラインサービスの停止を嘆く声があふれた。

 理由は地方銀行8行とローソン銀行で同日に発生したシステム障害にあった。地銀8行とは、めぶきフィナンシャルグループ(FG)傘下の常陽銀行と足利銀行、山口フィナンシャルグループ傘下の山口銀行ともみじ銀行、北九州銀行、十六銀行、南都銀行、百十四銀行を指す。9行で3月26日午前11時すぎから10数時間にわたって、オンラインサービスが利用できなくなった。システムの復旧まで20時間超を要した銀行もある。ATMが通帳やキャッシュカードを取り込むトラブルも起こった。

図 地銀8行とローソン銀行で発生したシステム障害の経緯
図 地銀8行とローソン銀行で発生したシステム障害の経緯
電源復旧からシステムの再稼働に手間取った
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 なぜ、この9行で同時にシステム障害が発生したのか。それは9行が預金や為替など銀行の中核業務を担う勘定系システムを同じデータセンターで稼働させており、そこで電源障害が起こったからだ。

 地銀8行は三菱UFJ銀行のシステムをベースにした共同利用型システム「Chance地銀共同化システム」を利用している。日本IBMが開発を、同社から2021年に分社したキンドリルジャパンがインフラ構築と運用を担う。ローソン銀行も三菱UFJ銀行のシステムをベースにしたシステムを使っているが、Chance地銀共同化システムとは異なるものだ。ただ、どちらのシステムもキンドリルジャパンの北関東にあるデータセンターで稼働していた。

 キンドリルジャパンは2020年(当時は日本IBM)にも同じデータセンターで定期保守の作業中に電源障害を起こし、複数の地銀やネット銀行で主要な取引ができなくなる事態を招いた。銀行にとっては「もらい事故」の側面はあるにせよ、顧客影響を最小限にとどめるための対策が欠かせない。2つの障害は銀行・ITベンダー双方に重い課題を突きつけている。