自治体を相互接続する「LGWAN」で2022年1月に通信障害が発生した。この障害によって、コンビニでの住民票などの交付が一部できなくなったほかに、自治体が利用するテレワークシステムでも通信が一部滞った。障害の原因は、セキュリティーチェックを担う設備で発生したハードウエア故障。東日本と西日本をつなぐ通信が不安定になり、ネットワーク利用に影響が出た。
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が運用する「LGWAN(総合行政ネットワーク)」は、自治体を相互接続する行政専用のネットワークだ。このLGWANで2022年1月26日、4時間半ほどにわたって一部の通信ができなくなる不具合が発生した。これによって自治体がLGWANを使って提供する住民サービスの一部などで不具合が発生した。
LGWANはインターネットからは切り離された閉域ネットワークであり、各自治体はインターネット接続系とは別系統のネットワークを庁内に構築し、それをLGWANに接続している。LGWANを運用するJ-LISは自治体の情報化推進の支援などを目的に、自治体が共同運営する組織だ。
LGWANでは、自治体の職員に向けて行政事務サービスを提供する「LGWAN-ASP」が利用できる。
高度なセキュリティー対策を講じている点もLGWANの特徴で、LGWANの通信はすべて「セキュリティゲートウェイ(セキュリティGW)」と呼ぶ設備で、ウイルス対策などのセキュリティーチェックを受ける。セキュリティGWは東日本セキュリティGWと西日本セキュリティGWの冗長構成であり、普段は東日本の自治体の通信は東日本セキュリティGWが、西日本の自治体の通信は西日本セキュリティGWがチェックしている。
セキュリティGWでハード故障
今回のトラブルは2022年1月26日の午前8時ごろに発生した。このとき、LGWANの監視システムが異変を検知してアラートを出した。これを受けてJ-LISの担当者が状況を詳しく調べたところ、東日本セキュリティGWでハードウエアが故障し、通信の一部が不通になっていることが分かった。なおJ-LISは東日本セキュリティGWで具体的にどのようなハード故障が発生したのかについて、セキュリティーなどを理由に公表していない。
ハード故障の影響を受けて、東日本と西日本のセキュリティGWを直接結ぶ回線の通信が不安定になった。この回線は、西日本セキュリティGWが管轄する西日本の自治体と、東日本セキュリティGWが担当する東日本の自治体との間で情報をやり取りするのに使うものだ。